2025/02/03
愛犬の歯の健康を守るために、獣医師から「抜歯が必要です」と言われた際、多くの飼い主様は不安を感じるでしょう。抜歯では、「痛みはないだろうか」「食事に支障は出ないだろうか」といった心配が頭をよぎるのは当然のことです。しかし、抜歯は愛犬の健康を守るために重要な治療であり、適切に行えば快適な生活を取り戻す手助けとなります。
抜歯が必要になる理由や手術の流れ、術後のケアについて知ることで、不安を軽減し、愛犬の健康管理に役立てることができます。
今回は犬の歯科治療で抜歯が必要なケースについて、治療の具体例や術後の生活などを詳しく解説します。
■目次
1.どんな場合に抜歯が必要になるの?主な原因と症状
2.抜歯手術の流れと必要な検査について
3.抜歯後の回復期に気をつけること
4.抜歯後の生活と予防について
5.まとめ
どんな場合に抜歯が必要になるの?主な原因と症状
犬が抜歯を必要とする原因はさまざまで、主に以下が挙げられます。
重度の歯周病
歯周病が進行すると、歯を支える骨や靭帯が弱まり、歯茎が炎症を起こして出血しやすくなります。この状態を放置すると、歯がぐらつき、痛みや違和感を伴うようになります。最終的には歯槽膿漏の状態となり、抜歯が避けられないケースもあります。
歯の破折
硬いおもちゃや骨などをかじった際に歯が折れることがあります。破折した歯から細菌が侵入すると、感染や膿瘍が発生し、歯を保存するのが難しくなります。この場合も抜歯が必要です。
乳歯の残存
永久歯が生えた後も乳歯が残っていると、歯並びが乱れ、歯周病のリスクが高まります。歯列を整えるために、乳歯の抜歯が必要になることがあります。
腫瘍や嚢胞
口腔内に腫瘍や嚢胞が発生した場合、それらを完全に取り除くために周囲の歯を抜歯することがあります。このようなケースでは、腫瘍や嚢胞の種類に応じた治療計画が立てられます。
これらを引き起こさないためにも、早期発見と早期治療が大切です。定期的に歯科検診を受けることで、深刻な問題に発展する前に対処し、重症化を防ぐことができます。
抜歯手術の流れと必要な検査について
術前検査の重要性
抜歯手術を行う前には、血液検査やレントゲン検査を実施します。これらの検査は麻酔のリスクを評価し、歯の状態や顎の骨の健康状態を詳細に確認するために必要です。
麻酔の使用と安全性
抜歯手術は全身麻酔下で行われます。麻酔にはリスクが伴いますが、近年の獣医療では適切なモニタリングと管理が行われており、安心して手術を受けることができます。不安がある場合は、事前に獣医師に相談し、十分な説明を受けるようにしましょう。
手術時間と入院の必要性
手術の所要時間は症状や歯の状態によって異なりますが、多くの場合、数十分から1時間程度で終了します。日帰りで行うことが可能な場合がほとんどですが、複雑な症例では入院が必要になることもあります。
抜歯後の回復期に気をつけること
術後の食事制限
抜歯後は、傷口を保護するために柔らかいフードやウェットフードを与えることが推奨されます。硬いフードやおやつは、傷口を刺激する恐れがあるため避けてください。また、食事制限は通常2〜3日間程度です。
傷口の管理
傷口を舐めたり触ったりしないように注意が必要です。必要に応じてエリザベスカラーを装着することで、傷口の保護が可能です。
痛み止めや抗生物質の投与
術後の痛みや感染を防ぐために、獣医師から処方された痛み止めや抗生物質を指示通りに投与してください。
回復期間の目安
術後の回復には個体差がありますが、通常1〜2週間程度で傷口が治癒します。愛犬の状態に不安がある場合は、早めに獣医師に相談してください。
抜歯後の生活と予防について
食事管理
抜歯後も適切な食事管理を行えば、愛犬は問題なく食事ができるようになります。むしろ、痛みが取り除かれることで食欲が増すこともあります。
歯のケア
抜歯後は残っている歯の健康を守るために、歯周病予防が重要です。日々のケアとして、歯磨きを習慣づけましょう。犬用の歯ブラシと歯磨きペーストを使用し、可能であれば毎日、最低でも週3回以上行うのが理想です。
デンタルケア用品の活用
デンタルケア用のおやつや玩具は歯磨きの補助として役立ちますが、歯磨きの代わりにはなりません。歯磨きと併用することで、より効果的な予防が期待できます。
定期的な歯科検診
年に1回以上の歯科検診を受けることで、早期に問題を発見し、歯石除去(スケーリング)などの処置を行うことが可能です。これにより、歯周病の進行を防ぐことができます。
まとめ
抜歯は愛犬の健康と快適な生活を守るために必要な治療です。術後は適切なケアを行い、日々の予防を徹底することで、愛犬の口腔内の健康を維持し、幸せな生活をサポートできます。不安なことがあれば、遠慮なく動物病院に相談してください。
当院では、愛犬の健康を守るために最善の治療とアドバイスを提供しています。正しい知識を身につけ、愛犬との健やかな日々を過ごしましょう。
◼️関連する記事はこちらから
犬の歯並びの悪さ…不正咬合について
歯を残していくために
口からの出血・よだれ、歯肉の赤み…もしかして歯肉炎かも?
歯石除去は1年に1回したほうがいいの?まずは歯科検診を受けてみましょう
定期的な歯科検診
歯石除去|麻酔下でのスケーリング
歯周病が引き起こす全身疾患のリスク
。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。・゚・。
東京都世田谷区等々力を中心に診療を行う
けいこくの森動物病院
当院のWEB予約はこちら
〒158-0082
東京都世田谷区等々力1-34-18
シュロス等々力1F
TEL:03-3704-1014
。・゚・。。・゚・。。・゚・。。・゚・。・゚・。