2025/04/10
こんにちは!けいこくの森動物病院です!
今回は糖尿病についてのお話をしていきます。
「最近、うちの犬が水をたくさん飲むようになった気がする…」「おしっこも増えてるけど、元気そうだし、まだ若いから大丈夫?」
こんなふとした変化に心当たりがある飼い主さん、実はそれ、糖尿病の兆候かもしれません。犬の糖尿病は、特に初期症状が見逃されがちですが、早期発見と適切な治療で管理可能な病気です。今回は、犬の糖尿病の症状、原因、診断法、治療法について詳しく解説します。
糖尿病とは?犬にも起こる病気
糖尿病(糖尿病性疾患)は、血糖値(血液中のグルコース濃度)が高くなりすぎてしまう病気です。人間だけでなく、犬にも発症する可能性があり、特に**インスリン依存型糖尿病(タイプ1)**が最も一般的です。
インスリンは膵臓から分泌され、体内の細胞が血糖を取り込み、エネルギー源として利用できるようにする役割を果たします。しかし、犬の場合、膵臓のインスリンを分泌する細胞が何らかの理由で機能しなくなることがあり、その結果、血糖値が高い状態が続いてしまいます。
これが症状!糖尿病の兆候
糖尿病の症状は、犬によって異なりますが、特に気をつけたいのが以下の変化です。
1. 多飲多尿(たくさん水を飲み、おしっこも増える)
多飲多尿は、糖尿病の典型的な初期症状です。血糖値が高くなると、体は余分な糖分を尿として排泄しようとします。この過程で水分も一緒に排出されるため、犬が飲む水の量が急激に増えます。その結果、頻繁におしっこをするようになります。
2. 体重減少
食欲が変わらないのに、急激に体重が減ることがあります。これは、細胞が血糖をエネルギーとして取り込めず、体が自分の脂肪や筋肉を分解してエネルギーを補おうとするためです。
3. 食欲亢進(食べる量が増える)
血糖値が高くなると、細胞にエネルギーが行き届かないため、犬がもっと食べようとすることがあります。
4. 元気がない、疲れやすい
血糖値が安定しないと、犬は体調がすぐれないことがあります。元気がなく、普段よりもぐったりしていることが増えた場合は要注意です。
5. 白内障
長期間の高血糖は、眼の水晶体に影響を与え、白内障を引き起こすことがあります。犬が目の前がぼやけている様子を見せたり、目が白く濁っている場合は、早期の対処が必要です。
糖尿病の原因とリスク要因
犬の糖尿病の主な原因には、以下のような要因があります。
1. 遺伝的要因
特定の犬種は糖尿病にかかりやすい傾向があります。特にミニチュアシュナウザー、トイプードル、ダックスフンド、ビーグルなどが挙げられます。これらの犬種は遺伝的に糖尿病のリスクが高いとされています。
2. 肥満
肥満はインスリン抵抗性を高め、糖尿病を引き起こすリスクを大きくします。特に、体重管理が不十分な場合、インスリンの働きが悪くなり、糖尿病を発症する可能性が高まります。
3. 加齢
高齢犬は糖尿病のリスクが増加します。特に7歳以上の犬においては、膵臓の機能が低下することがあり、糖尿病を発症する確率が高くなります。
4. ホルモンの不均衡
避妊・去勢手術を受けていない犬、またはホルモンバランスの乱れが見られる犬(例:クッシング症候群)も糖尿病を発症しやすくなります。
5. 膵炎や他の内臓疾患
膵臓が炎症を起こすと、インスリン分泌に影響を与え、糖尿病を引き起こすことがあります。特に慢性的な膵炎を患っている犬は注意が必要です。
糖尿病の診断方法
糖尿病の診断には、いくつかの検査が必要です。動物病院での診断には以下のプロセスが含まれます。
1. 血液検査
糖尿病の診断には血糖値の測定が不可欠です。空腹時の血糖値が基準値を超えている場合、糖尿病の疑いが強くなります。通常、血糖値が250 mg/dL(13.9 mmol/L)を超えると糖尿病と診断されることが多いです。
2. 尿検査
尿に糖分(グルコース)が含まれているかどうかを調べます。尿糖が陽性であれば、糖尿病の可能性が高くなります。
3. 血液化学検査
糖尿病に関連する他の指標(例えば、肝臓や腎臓の機能、電解質の状態)をチェックします。これにより、糖尿病以外の合併症がないかも確認できます。
治療法と管理方法
糖尿病は一度発症すると完治することはありませんが、適切な治療と管理で長期的に健康を維持することが可能です。
1. インスリン療法
インスリン注射は糖尿病治療の基本です。犬の体重や血糖値に基づいて、獣医師が最適なインスリン量を決定します。通常、1日2回のインスリン注射が必要です。
2. 食事管理
療法食を中心に、低カロリーで高繊維の食事が推奨されます。これにより、血糖値の急激な上昇を防ぎ、安定させることができます。食事は一定の時間に、決まった量を与えることが大切です。
3. 定期的な血糖値チェック
定期的な血糖値の測定は糖尿病の管理に不可欠です。血糖値が安定しているかどうかをチェックし、インスリンの量や食事内容を調整します。
4. 運動の管理
過度な運動は犬の体調に負担をかけるため、適切な運動を心がけます。過度な疲れを避け、体重管理を行うことも大切です。
放置すると危険!糖尿病の合併症
糖尿病を放置すると、以下のような深刻な合併症を引き起こす可能性があります。
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糖尿病性ケトアシドーシス(危険な状態)
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白内障による失明
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感染症(免疫力低下)
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高血糖による臓器障害
これらの合併症は命に関わることもあります。早期発見と早期治療が、愛犬の命を守るためにとても重要です。
飼い主さんにできること
糖尿病は、日々の管理がカギとなります。飼い主として、次の点に気をつけましょう。
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日々の観察(飲水量・おしっこの量・体重の変化)
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決まった時間にインスリンを投与すること
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獣医師との定期的な相談とフォローアップ
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食事と運動のルーチンを守る
まとめ:糖尿病の早期発見と管理が鍵
「お水をよく飲むようになった」と感じたら、糖尿病の兆候かもしれません。早期発見と適切な治療を行うことで、愛犬の健康を守り、長く元気に過ごさせることができます。もし少しでも気になることがあれば、ぜひ動物病院にご相談ください。
あなたの愛犬が健康で幸せに過ごせるよう、私たちが全力でサポートいたします。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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