猫の皮膚のただれ…好酸球性肉芽腫症候群について

こんにちは！

世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。

猫を飼っている方の中には、愛猫の皮膚に赤く腫れた部分やただれを見つけて心配になった経験があるかもしれません。その症状の原因の一つに「好酸球性肉芽腫症候群」という病気があります。今回は、猫の好酸球性肉芽腫症候群について、その症状や原因、治療法、予防策を解説します。

好酸球性肉芽腫症候群とは？

好酸球性肉芽腫症候群とは、猫に見られる皮膚や口腔内の炎症性疾患の総称です。この病気は、体内の免疫細胞の一種である「好酸球」が異常に活性化し、炎症を引き起こすことで発症します。原因は様々ですが、アレルギー反応や寄生虫感染、自己免疫の異常などが関係していると考えられています。

 

好酸球性肉芽腫症候群の主な種類と症状

好酸球性肉芽腫症候群には、以下の3つの主要なタイプがあります。

1. 好酸球性潰瘍

症状:

• 主に上唇に発生する潰瘍（えぐれたような傷）

• 進行すると硬くなり、深くなる

• 痛みがないことが多いが、進行すると食事に影響を及ぼすこともある

2. 好酸球性局面

症状:

• お腹や太ももの内側などにできる赤く盛り上がった湿疹

• かゆみが強く、舐めたり引っ掻いたりして悪化することが多い

• 二次感染を引き起こすこともある

3. 好酸球性肉芽腫

症状:

• 口の中（特に舌や口唇）、四肢、顎などにしこりや腫れができる

• 触ると硬く、時に潰瘍化する

• 口腔内にできると食欲低下やよだれの増加が見られることもある

 

好酸球性肉芽腫症候群の原因

この病気の原因は完全には解明されていませんが、以下のような要因が関与していると考えられています。

1. アレルギー

• 食物アレルギー: キャットフードの成分（特にタンパク質）に対するアレルギー反応

• ノミアレルギー: ノミに対する過敏反応

• 環境アレルギー: 花粉やハウスダスト、カビなど

2. 寄生虫感染

• ノミ、ダニ、線虫（消化管寄生虫）などが関与することがあります。

3. 自己免疫異常

• 免疫システムが異常を起こし、過剰に炎症を引き起こすことがあります。

4. 遺伝的要因

• 一部の猫種は好酸球性疾患を発症しやすい傾向があります。

 

診断方法

動物病院では、以下の方法で診断を行います。

1. 視診・問診: 皮膚の状態や発生部位を確認

2. 細胞診: 皮膚の組織を採取し、顕微鏡で好酸球の有無を確認

3. 病理検査: 組織を詳しく調べ、悪性腫瘍など他の疾患との鑑別

4. 血液検査: アレルギー反応や感染の有無をチェック

5. アレルギーテスト: 食事や環境要因が関係しているか調べる

 

治療方法

治療は原因に応じて異なりますが、一般的なアプローチは以下の通りです。

1. 抗炎症治療

• ステロイド: 炎症を抑えるための第一選択肢

• 免疫抑制剤: ステロイドが効かない場合に使用

2. アレルギー管理

• 食事療法: 食物アレルギーの可能性がある場合、低アレルゲン食に変更

• ノミ駆除: 定期的なノミ予防薬の使用

• 環境管理: ハウスダスト対策や空気清浄機の導入

3. 抗生物質

• 二次感染を防ぐため、抗生物質を併用することもあります。

4. 外科的処置

• 重度の場合、腫瘍化した部位の外科的切除が必要になることもあります。

 

予防策

完全に予防するのは難しいですが、以下の対策で発症リスクを減らせます。

1. ノミ・ダニ予防: 毎月の予防薬で寄生虫感染を防ぐ

2. バランスの取れた食事: 低アレルゲン食を検討

3. 清潔な環境を維持: ハウスダストやカビの除去

4. 定期的な健康診断: 早期発見・早期治療が重要

まとめ

猫の好酸球性肉芽腫症候群は、アレルギーや自己免疫異常が関与する皮膚疾患の総称です。かゆみや腫れなどの症状が現れたら、早めに動物病院を受診し、適切な治療を受けることが重要です。日頃から愛猫の皮膚の状態をよく観察し、予防策を講じることで、発症リスクを減らすことができます。

 

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