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犬の下顎切除後の生活は大丈夫?|手術の必要性から術後の過ごし方まで徹底ガイド

皆さんは「下顎切除」という手術をご存じでしょうか?これは、犬の下顎の一部を切除する外科手術で、主に腫瘍や外傷などが原因で必要とされることがあります。このような手術が必要だと診断された場合、多くの飼い主様が愛犬は「普通に生活できるのか」「食事は問題なく取れるのか」「見た目が大きく変わってしまうのではないか」など、さまざまな不安や疑問を抱えてしまうのではないでしょうか。

下顎切除は確かに大きな手術ですが、愛犬の命を守り、生活の質(QOL)を維持するために必要な選択肢となることがあります。特に、治療を行わない場合には痛みや食事の困難さが生じ、愛犬の生活が著しく制限されてしまうケースも少なくありません。

今回は犬の下顎切除について、手術が必要となる原因や手術の方法、そして術後のケアや新しい生活への適応方法などを詳しく解説していきます。

■目次
1.下顎切除が必要となる原因について
2.手術の種類と実施までの流れ
3.手術直後のケアと注意点
4.術後の新しい生活への適応について
5.まとめ

 

下顎切除が必要となる原因について

犬の下顎切除が必要になるケースには、主に以下の原因が挙げられます。

 

腫瘍(良性・悪性)

下顎に腫瘍が発生した場合、その腫瘍が骨にまで広がってしまうことがあります。このような場合、腫瘍だけを取り除くことが難しく、下顎の一部または全体を切除しなければならないケースがあります。良性腫瘍であっても大きくなりすぎると、機能障害や痛みを引き起こすため、切除が必要となることがあります。

 

重度の外傷

交通事故や高所からの落下、あるいは他の動物との喧嘩による外傷で下顎を骨折することがあります。骨折が複雑で修復が難しい場合や、骨が壊死してしまった場合には、下顎切除が選択されることがあります。

 

重度の感染症

細菌感染が進行して骨が破壊される「骨髄炎」という状態になると、感染が広がらないようにするために下顎を切除する必要が出てきます。早期治療が実施されれば、感染の拡大を防ぐことができる場合もありますが、進行してしまうと手術が避けられないケースもあります。

 

下顎に異常が見られた場合には、できるだけ早く獣医師の診察を受けることが大切です。下顎の異常を見逃さないためにも、日頃から口元のチェックを行い、腫れや出血、食事中の違和感などが見られた場合はすぐに動物病院で診てもらいましょう。

 

診断には、レントゲン検査やCT検査といった画像診断、腫瘍が疑われる場合には「細胞診」と呼ばれる顕微鏡検査が行われます。これらの検査結果を基に、手術の必要性を判断します。

 

手術の種類と実施までの流れ

ひとくちに「下顎切除」といっても、その切除範囲は症例によって異なります。

 

■部分切除と全切除の違い

部分切除

下顎の一部のみを切除する手術です。腫瘍が小さく、骨への浸潤が少ない場合に選択されることが多いです。

 

全切除

下顎の片側すべて、あるいは両側を切除する手術です。腫瘍が広範囲に及ぶ場合や骨の壊死が広がっている場合に必要となることがあります。

 

下顎切除は全身麻酔下で行われるため、術前には血液検査や画像検査を行い、全身の状態を確認します。これにより麻酔リスクを最小限に抑えることができます。全身麻酔のリスクが心配な場合は、かかりつけの獣医師に詳しく相談しましょう。

また、手術時間は通常1時間程度ですが、切除範囲が大きくなるほど時間が長くなることがあります。入院期間は、一般的に1週間から10日程度が目安ですが、年齢や健康状態により異なります。

 

手術直後のケアと注意点

手術直後は痛みが伴うため、鎮痛剤を使用してコントロールします。痛みを適切に管理することで、回復がスムーズになります。

術後すぐは自力で食事を取ることが難しいため、点滴や食道チューブ、胃瘻チューブを使用して流動食を与えます。術後数日経つと、犬が自力で食べ始めることも多く、その場合はチューブを取り除きます。

また、下顎は食事やヨダレで汚れやすい部位です。そのため、傷口を清潔に保つことが重要です。エリザベスカラーを装着し、引っ掻きによる二次感染を防ぎます。

術後は抗生物質や鎮痛剤が処方されるため、獣医師の指示に従い、忘れずに投薬を行いましょう。

 

術後の新しい生活への適応について

下顎切除後の犬でも、舌が動く限りは自力で食事が可能です。食べやすいウェットフードや、ふやかしたドライフードを与えるのが良いでしょう。ドライフードを与える際は、粒の小さいものを選ぶと飲み込みやすくなります。

術後は下顎の構造が変わるため、食事の際にこぼしやすくなることがあります。床に汚れ防止用のマットを敷くなど、食事環境を工夫してあげましょう。また、必要に応じて獣医師に再診を受け、経過をしっかりと確認することが重要です。

術後の生活に慣れるまでには時間がかかる場合もありますが、多くの犬は徐々に適応していきます。愛犬が無理をせず、快適に過ごせるよう、日常のケアやサポートを続けていきましょう。

 

まとめ

犬の下顎切除は、飼い主様にとって大きな決断を伴う手術です。しかし、この手術は愛犬の痛みを取り除き、生活の質を維持するための重要な選択肢でもあります。術後には新しい生活への適応が求められますが、多くの犬は徐々に通常の生活に戻ることができます。

不安な点がある場合は、かかりつけの獣医師に相談しながら、愛犬のために最善の選択をしていきましょう。

 

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