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犬の歯が欠けた時の対処法|放置はNG?受診の目安と予防法を獣医師が解説

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愛犬の歯が欠けているのを見つけた時、飼い主様は驚きと不安を感じることでしょう。「痛がっているのではないか」「治療が必要なのか」「今後の生活に影響はないのか」など、さまざまな疑問が頭をよぎると思います。

実は、犬の歯が欠ける事故は珍しいものではありません。しかし、適切な対処法を知らないまま放置してしまうと、愛犬の健康に大きな影響を及ぼす可能性があります。

今回は、犬の歯が欠けた場合の応急処置、受診の判断基準、そして予防法などについて詳しく解説します。

■目次
1.歯が欠ける主な原因について
2.歯が欠けた時の処置
3.動物病院を受診すべき症状とタイミング
4.治療方法と回復までの過程
5.まとめ

 

歯が欠ける主な原因について

犬の歯が欠ける原因としては、主に以下のようなものが挙げられます。

 

硬いものを噛んだ時の事故

犬の歯が欠ける最も一般的な原因が、硬いものを噛んだ時の事故です。特に、骨や角、硬いデンタルガム、プラスチック製のおもちゃなどを噛むことで歯が欠けてしまうことがあります。一見丈夫そうに見える犬の歯ですが、人間の歯と同じように過度な力がかかると欠けてしまうことがあります。

 

歯周病による歯の脆弱化

歯周病は犬に非常に多い病気で、3歳以上の犬の約80%が罹患しているとも言われています。歯周病が進行すると歯を支える骨や歯の内部の組織がダメージを受け、歯が脆くなるため、少しの力でも歯が欠けやすくなります

 

加齢による自然な劣化

犬も加齢とともに歯が弱くなります。特に高齢になると、栄養バランスが崩れることや歯を支える骨の密度が低下することによって、歯が欠けやすくなります。

 

噛み合わせの問題

噛み合わせが悪い犬は、一部の歯に過度な負担がかかるため、その歯が欠けるリスクが高まります。特に、下顎や上顎の歯が不均等に接触している場合、注意が必要です。

 

硬いものを噛むことや歯周病は日頃のケアで予防が可能です。一方で、加齢や噛み合わせの問題は完全には防げないことが多いため、定期的な歯科検診を受けることが重要です。

 

歯が欠けた時の処置

万が一、犬の歯が欠けてしまった場合には、まず冷静に以下のポイントを確認してください。

 

欠けた部分の確認

欠けた歯がどれくらいの大きさか、どの歯が欠けているかを確認しましょう。さらに、歯ぐきから出血があるかどうか、歯の中心部分にピンク色の神経や血管(歯髄)が見えているかどうかも確認することが重要です。

 

痛がっている場合の対処

愛犬が痛みを感じている場合には、食事をウェットフードに切り替える、またはドライフードをふやかして与えるなど、硬いものを避ける工夫をしましょう。また、あまりに痛がる場合は無理に触らず、動物病院を受診してください。

 

欠けた破片の扱い

折れた歯の破片は場合によっては治療に役立つことがあります。破片を無くさないように保存し、動物病院に持参することをおすすめします。

 

してはいけない対処法

欠けた歯を無理に触ったり、歯の位置を戻そうとしたりする行為は危険です。また、欠けた状態のまま硬い食べ物を与えることも避けましょう。

 

動物病院を受診すべき症状とタイミング

犬の歯が欠けた場合、以下のようなケースでは早急に動物病院を受診する必要があります。

 

神経や血管が露出している可能性がある

欠けた歯の表面にピンク色の部分(歯髄)が見える場合、神経や血管が露出している可能性があります。この状態を放置すると細菌感染や激しい痛みを引き起こすため、すぐに治療が必要です。

 

出血が続く

欠けた歯が原因で出血が止まらない場合、何らかの損傷や感染が進行している可能性があります。

 

食欲や行動の変化

食事を嫌がる、いつもと違う行動を見せるなどの変化が見られる場合は、欠けた歯が原因で痛みを感じている可能性があります。

 

歯ぐきが腫れている

歯ぐきの腫れは感染症のサインであることが多いです。この状態を放置すると全身に影響を及ぼすことがあるため、早めに治療を受けましょう。

 

治療方法と回復までの過程

犬の歯が欠けた際の治療方法は、症状の程度によって異なります。

 

軽度の場合

神経や血管が露出していない場合には、欠けた部分に被せ物をする「歯冠修復」が行われます。この方法では歯を抜かずに治療が可能です。

犬の歯のかぶせ物についてはこちらから

 

神経が露出している場合

欠けた歯の神経や血管が露出している場合、感染を起こした神経や血管を抜いて詰め物をする「抜髄根管治療」や、場合によっては抜歯が必要となります。

 

回復期のケア

術後は、柔らかい食事を与えることが基本です。歯磨きは獣医師からの許可が下りるまで控えてください。

 

治療後は、硬いものを噛ませないように注意しつつ、ご自宅でのデンタルケアを徹底しましょう。また、定期的に歯科検診を受けることで、再発や他の歯の問題を防ぐことができます。

 

まとめ

犬の歯が欠けてしまう事故は決して珍しいものではありませんが、適切な対応を取ることで愛犬の健康を守ることができます。硬すぎるものを与えない、歯周病を予防するなど、日頃のケアで事故のリスクを減らすことが可能です。

万が一、犬の歯が欠けてしまった場合は、速やかに欠けた部分を確認し、必要に応じて動物病院を受診してください。特に神経が露出している場合や出血が続く場合は早急な治療が必要です。


当院の歯科治療についてはこちらから


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