2024/12/08
皆さんこんにちは!
けいこくの森動物病院です。
皆さんのお家のわんちゃん・ねこちゃんが、運動後にすぐ疲れてしまうことはありませんか?そのようなときは心臓にトラブルを抱えている場合もあります。
今回は心臓の病気である動脈管開存症についてご説明します。
動脈管開存症とは?
動脈管開存症(どうみゃくかんかいぞんしょう、PDA: Patent Ductus Arteriosus)は、主に犬や猫の先天性心疾患の一つです。通常、胎児期に心臓と肺を結ぶ「動脈管」という血管が出生後に閉じる仕組みがあります。しかし、動脈管開存症では、この血管が出生後も閉じずに残ってしまいます。これにより、血液が通常の流れとは異なる経路を通り、心臓や肺に負担がかかります。
動脈管の役割と問題点
胎児期の役割
胎児はまだ肺で呼吸をしていないため、血液は肺を通る必要がありません。このため、動脈管が肺動脈と大動脈をつなぎ、酸素を多く含む血液を効率的に全身へ送る役割を果たしています。
出生後の変化
出生後、肺が機能し始めると、動脈管は役目を終えます。その後、自然に閉じていき、痕跡だけが残ります。しかし、動脈管開存症では、この閉じるはずの血管がそのまま開いた状態で残るため、血液が逆流し、心臓や肺に余計な負担を与えてしまいます。
動脈管開存症の症状
動脈管開存症の症状は、進行度や動脈管の大きさによって異なります。小型のPDAでは無症状の場合もありますが、進行すると以下のような症状が現れることがあります。
1. 咳や呼吸困難
肺に過剰な血液が流れるため、咳や息切れ、呼吸困難を引き起こすことがあります。
2. 疲れやすさ
散歩や遊び中にすぐに疲れる、運動を嫌がるといった行動が見られることがあります。
3. 成長不良
重症の場合、十分に栄養が行き渡らず、体の発育が遅れることがあります。
4. 心雑音
動脈管開存症では独特な「連続性の雑音」が心臓から聞こえます。これは動物病院での聴診で発見されることが多いです。
原因とリスク
原因
動脈管開存症は先天性の異常であり、遺伝的な要因が考えられています。一部の犬種では発症リスクが高いとされています。
リスクが高い犬種
• トイプードル
• ポメラニアン
• チワワ
• キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
• シェルティー
猫では犬ほど発症率は高くありませんが、個体差があります。
診断方法
動脈管開存症は、通常以下の方法で診断されます。
1. 聴診
心臓の雑音を聴診器で確認します。動脈管開存症特有の連続音がある場合、疑われます。
2. 胸部レントゲン
心臓の肥大や肺への血液の流入過剰を確認します。
3. 心エコー検査
動脈管の形状や血流を直接確認するための検査です。診断の確定に用いられます。
治療法
動脈管開存症は放置すると心不全や肺高血圧症を引き起こし、命に関わる可能性があるため、早期治療が重要です。
1. 外科的手術
動脈管を直接縛る手術が一般的です。成功率が高く、多くの症例で完全な治癒が期待できます。
2. カテーテル治療
カテーテルを用いて動脈管を閉じる治療法もあります。体への負担が少ないため、近年はこの方法を選択する病院も増えています。
動脈管開存症の予後
早期に適切な治療を受けた場合、動脈管開存症はほぼ完全に治癒することが期待できます。手術後は元気に日常生活を送れるようになるケースがほとんどです。ただし、治療が遅れると心臓や肺への負担が大きくなり、回復が難しくなることもあるため、早めの診断と治療が重要です。
動物病院でできること
動脈管開存症の早期発見のためには、定期的な健康診断が欠かせません。当院では、心臓の聴診やレントゲン検査、心エコー検査を行い、正確な診断を提供しています。また、外科手術や専門施設との連携も可能です。心臓病が疑われる症状が見られた場合は、すぐにご相談ください。
まとめ
動脈管開存症は放置すると命に関わる可能性がありますが、早期に診断し適切な治療を受けることで、完全な回復が見込める病気です。愛犬や愛猫の健康を守るため、普段の様子を注意深く観察し、異変を感じたら早めに動物病院を受診してください。ご不明な点がございましたら、いつでも当院にご相談ください。
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