2024/12/06
愛犬や愛猫がなにもしていないのに息切れをしていたら、どうしたのだろうと不安になりますよね。息切れは呼吸が苦しくなって、普段より呼吸が速くなったり荒くなったりすることを指しますが、体に酸素が足りない状態であるため、治療が遅れると命に関わることもあります。そのため、いち早く異常に気が付き、治療を受けることが重要です。
今回は犬や猫の息切れについて、考えられる原因や注意が必要な症状などについて詳しく解説します。
■目次
1.息切れと正常な呼吸の違いとは?
2.犬や猫の息切れの主な原因
3.息切れが起きやすい犬種・猫種について
4.このような症状があったら要注意!
5.まとめ:息切れから大切な家族を守るために
息切れと正常な呼吸の違いとは?
1分間の正常な呼吸数は、安静時に犬で20〜30回、猫で20〜40回程です。眠っているときは普段よりも呼吸数が少なくなり、逆に活動時(興奮時や運動後)や暑い日などは呼吸数が増えます。また、通常であれば口を閉じて鼻で呼吸をしますが、犬の場合、活動時に口を開けて呼吸をすることもあります。
息切れは呼吸が苦しいと感じる状態で、一般的に呼吸数は多くなります。これは体に酸素が足りない状態であるため、なんとか酸素を取り込もうと全身の筋肉を使って一生懸命呼吸をする(努力性呼吸)、浅く速い呼吸になる(浅速呼吸)、口を開けて呼吸をする(開口呼吸)など、異常な呼吸をします。
犬や猫の息切れの主な原因
息切れは、以下のようにさまざまな原因から起こります。
心臓病
犬では僧帽弁閉鎖不全症が、猫では肥大型心筋症がよく見られます。心臓は血液を全身に送り出すポンプの役割をしているため、心臓病によって心臓の機能が低下すると、全身に血液が回らずなくなります。それにより、肺血流量が増えたり肺に水分が溜まったりするため、酸素と二酸化炭素をうまく交換できなくなり、息切れしてしまいます。心臓病がある程度進行したときに見られる症状であるため、緊急度が高い状態といえます。
肺の病気
肺炎や肺水腫、肺気腫、肺腫瘍などが原因で息切れすることもあります。咳が一緒に見られることが多く、治療が遅れると命に関わるケースも少なくないため、注意が必要です。
熱中症
犬や猫は全身で汗をかくことができないため、体温調節が苦手です。さらにふわふわの被毛で全身を覆われていることも相まって、夏場は熱中症に罹りやすくなります。熱中症になると唾液を蒸発させて体温を下げようとするため、口を開けて舌を出し、ハッハッと息苦しそうに呼吸をします(パンティング)。
ストレス
強いストレスや不安を感じると交感神経が活発になり、一時的に口を開けて呼吸することがあります。
息切れが起きやすい犬種・猫種について
以下のような犬や猫では、息切れが起きやすい傾向にあります。
短頭種
パグやフレンチブルドッグ、ペルシャ猫などは、生まれつき鼻の穴が小さかったり、軟口蓋(口の奥にある天井のやわらかい部分)が長かったりすることが多く、呼吸がしづらい傾向にあります。自然に治ることは難しく、重度の場合は手術が必要になります。そのため、呼吸音やいびきが大きい場合、口を常に開けて浅く速い呼吸をしている場合などは、動物病院で検査を受けましょう。
高齢の場合
高齢の犬や猫は心肺機能が衰えていたり、暑さやストレスに弱かったりするため、息切れしやすい状態といえます。また、心臓や肺の病気の罹患率も上がるため、シニア期に突入したら半年に1回のペースで定期健診を受けるようにしましょう。
持病がある場合
心臓や呼吸器に異常がある場合や悪性腫瘍を患っている場合は、病気の進行とともに息切れが見られることがあります。そのため、持病のある犬や猫に息切れが見られた場合は、直ちに病院を受診しましょう。
このような症状があったら要注意!
息切れと一緒に食欲がない、咳が出る、運動を嫌がるといった症状が見られることもあります。また、以下のような症状が見られる場合は特に緊急性が高く、直ちに治療を行う必要があります。
・ぐったりして動かない
・舌や口の粘膜の色が青紫色になっている(チアノーゼ)
・全身を使って呼吸をしている
・口を開け呼吸をしている(特に猫)
・横向きになれない
・首を伸ばして苦しそうに呼吸をしている(犬の場合)
・背中を丸めて苦しそうに呼吸をしている(猫の場合)
これらの症状が見られた場合はすでに呼吸困難を起こしているため、すぐに酸素を供給する必要があります。そのため、病院に着いたらすぐに治療ができるようあらかじめ動物病院に電話をしておき、なるべく興奮させないように、そして体勢を極力変えないようにして動物病院へ急ぎましょう。
まとめ:息切れから大切な家族を守るために
息切れは暑さやストレスによるものから病気によるものまで、さまざまな原因で起こります。呼吸困難を引き起こすと命にかかわる場合もありますので、早期発見・早期治療を行うことが重要です。そのため、日頃から愛犬や愛猫の呼吸数や呼吸状態をよく観察し、小さな異変にいち早く気がつけるようにしておきましょう。
また、病気によっては進行してからでないと症状が出ないものもあるため、定期的に健康診断を受けることが大切です。本記事でご紹介した内容を参考に、心配な症状が見られた場合は、迷わず動物病院に相談しましょう。
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