2024/11/30
膿胸とは、胸腔(肺の周囲にある空間)に膿がたまる病気です。
この状態は犬や猫にとって命に関わる場合もあり、早期発見と治療が非常に重要です。
今回は、膿胸の原因や症状、診断、治療法について解説します。
膿胸とは?
膿胸は、胸腔内に細菌感染や炎症によって膿がたまり、肺が圧迫されて正常に呼吸ができなくなる状態です。
犬と猫のどちらにも発生しますが、特に猫では頻繁に見られる病気の一つです。
胸腔の役割
胸腔は、肺が自由に動くための空間で、通常は少量の潤滑液しか存在しません。
しかし、感染などにより膿がたまると、肺の動きが制限され、呼吸困難を引き起こします。
膿胸の原因
膿胸の原因にはいくつかの要因が考えられます。
細菌感染
• 胸腔に細菌が侵入することで膿がたまります。外傷や手術後、あるいは肺や気管支から感染が広がる場合があります。
外傷
• 交通事故や咬傷などで胸部に傷ができた場合、そこから細菌が侵入することがあります。
異物
• 猫では特に、植物のトゲ(例えば草の種など)が体内に入り込み、胸腔内で感染を引き起こすことがあります。
呼吸器感染症
• 肺炎や気管支炎が重症化し、胸腔内に感染が広がる場合があります。
腫瘍
• 胸腔内の腫瘍が原因で膿がたまることもあります。
症状
膿胸にかかった犬や猫は、次のような症状を示します。
呼吸器症状
• 呼吸困難:浅く速い呼吸をするようになります。
• 開口呼吸(口を開けて呼吸):特に猫では重篤なサインです。
• 咳:胸腔内の炎症による刺激で咳をすることがあります。
全身症状
• 元気消失:動きたがらなくなり、ぐったりします。
• 食欲不振:食べる量が減少します。
• 発熱:感染症のため体温が上昇します。
• 脱水:膿がたまることで体内の水分バランスが乱れます。
重篤な場合
• チアノーゼ(歯茎や舌が青紫色になる)
• ショック状態
診断方法
膿胸が疑われる場合、以下の診断が行われます。
身体検査
• 胸部の聴診で異常な音(肺音の減少や雑音)が確認されます。
胸部X線検査
• 胸腔内に異常な液体がたまっていることを確認します。
胸腔穿刺
• 胸腔内に針を刺して液体を採取し、その液体を検査します。膿が確認されれば膿胸と診断されます。
細菌培養検査
• 採取した液体から細菌を培養し、感染原因となる菌を特定します。
血液検査
• 感染や炎症の程度を確認します。
治療方法
膿胸の治療は迅速かつ適切な対応が求められます。
胸腔ドレナージ(排液処置)
• 胸腔にチューブを挿入し、たまった膿を排出します。この処置を繰り返すことで胸腔内を清潔に保ちます。
抗生物質の投与
• 感染した細菌を駆除するために、効果的な抗生物質を使用します。細菌培養の結果に基づき、最適な薬を選択します。
酸素療法
• 呼吸困難がある場合、酸素吸入を行い呼吸をサポートします。
外科手術
• 異物や腫瘍が原因の場合、外科手術でそれを取り除くことが必要です。また、胸腔内の洗浄を行うこともあります。
支持療法
• 脱水症状や栄養不足を補うために、点滴や食事管理を行います。
予後
膿胸の治療後の予後は、病気の重症度や治療の早さに左右されます。
早期に治療を開始すれば回復する可能性が高まりますが、重度の場合や慢性化している場合は予後が悪いこともあります。
予防
外傷の回避
• 室内飼いを基本とし、交通事故や他の動物とのケンカを防ぎましょう。
定期的な健康診断
• 早期発見のために、定期的な健康チェックを欠かさないようにします。
感染症の管理
• 呼吸器感染症が悪化しないよう、適切な治療を行いましょう。
清潔な飼育環境
• 清潔な環境を維持し、外部からの感染リスクを減らします。
まとめ
犬や猫の膿胸は、迅速な対応が必要な重篤な病気です。
呼吸が苦しそう、元気がないといった異常を感じたら、すぐに動物病院で診察を受けましょう。
定期的な健康チェックや予防策を徹底することで、大切なペットの健康を守ることができます。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご
相談ください。
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