けいこくの森動物病院
TEL 03-3704-1014

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〒158-0082 東京都世田谷区等々力1-34-18

けいこくの森動物病院

急に犬の皮膚にアザができた…血小板を確認しましょう

こんにちは!
世田谷区等々力、けいこくの森動物病院です。
急にわんちゃんの皮膚にアザができていた場合、深刻な病気が隠れていることがあります。
それは免疫介在性血小板減少症と呼ばれる自己免疫の異常からくる病気です。
今回はそんな血小板減少症について紹介します。

免疫介在性血小板減少症(IMT)とは?

免疫介在性血小板減少症(Immune-Mediated Thrombocytopenia、IMT)は、犬において自己免疫疾患の一種です。この病気は、免疫システムが誤って自分自身の血小板を攻撃し、破壊してしまうことで発症します。血小板は血液中で出血を止める重要な役割を担っているため、これが減少すると、出血が止まりにくくなり、体内で出血が起こりやすくなります。

血小板の減少が続くと、軽い外傷や自発的な出血が重症化し、最悪の場合、命に関わる事態に至ることもあります。この疾患は早期発見と適切な治療が非常に重要です。

 

血小板の役割とIMTのメカニズム

血小板は骨髄で産生され、血管が損傷したときにその場所に集まって凝集し、血栓を形成して出血を止める働きを持っています。通常、免疫システムは体内に侵入してきた外部の異物や病原体を攻撃し、体を守りますが、IMTでは免疫システムが誤って自身の血小板を「異物」として認識し、これを攻撃して破壊します。この自己免疫反応によって血小板数が急激に減少し、出血のリスクが高まるのです。

 

IMTの症状

IMTの症状は、血小板の減少に伴う出血が主なものです。特に、以下のような症状が見られます。

  • 皮膚や粘膜の出血斑:小さな赤紫色の点状出血(点状出血)が皮膚や口腔内、目の周りに見られることがあります。
  • 鼻血(鼻出血):特に鼻からの出血が頻繁に見られる場合、IMTの可能性が考えられます。
  • 尿や便に血が混じる:内出血が起こると、尿や便に血が混じることがあります。
  • 疲れやすさ・元気がない:体内で出血が進行すると貧血を引き起こし、元気がなくなることがあります。
  • 呼吸困難:重度の出血が胸腔内や肺に及ぶと、呼吸困難が生じることもあります。

これらの症状が見られた場合、早急に動物病院を受診することが推奨されます。

 

IMTの原因

IMTの原因は明確には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。

  • 遺伝的要因:特定の犬種にはIMTが発症しやすい傾向があることが知られています。例えば、コッカースパニエル、シェトランドシープドッグ、プードル、ゴールデンレトリバーなどがリスクが高いとされています。
  • 感染症:特定のウイルスや細菌感染がIMTを誘発することがあると報告されています。
  • 薬剤:一部の薬剤が免疫系に影響を与え、IMTを引き起こすことがあるとされています。
  • ワクチン接種:まれにワクチン接種後にIMTを発症するケースも報告されています。

 

診断方法

IMTの診断は、まず血液検査を行い、血小板の数が異常に減少しているかどうかを確認します。しかし、血小板減少だけではIMTの診断はできないため、追加の検査が行われることが一般的です。

  • 骨髄検査:骨髄内で血小板が正常に産生されているかどうかを確認するための検査です。IMTの場合、血小板が破壊される一方で骨髄は正常に機能していることが多いです。
  • 免疫系の検査:血液中の抗体や免疫複合体の存在を確認するための検査が行われることがあります。これにより、自己免疫反応が起こっているかどうかが確認されます。
  • 他の病気の除外:IMTは他の病気、特に感染症や腫瘍による血小板減少症とも類似の症状を示すため、それらを除外するための検査が行われることが多いです。

 

IMTの治療法

IMTの治療は、主に免疫抑制療法を中心に行われます。免疫系が誤って血小板を攻撃するのを抑えることが治療の目標です。

  • ステロイド剤:最も一般的な治療法はステロイド剤を使用することです。ステロイド剤は免疫系を抑制し、血小板の破壊を防ぎます。
  • 免疫抑制剤:ステロイドに加えて、免疫抑制剤が使用されることもあります。これにより、免疫系の活動をより強力に抑えることができます。
  • 輸血:重度の貧血や出血が見られる場合、輸血が行われることがあります。これにより、失った血液を補充し、出血のリスクを軽減します。
  • 免疫グロブリン療法:免疫グロブリンを投与することで、抗体が血小板を攻撃するのを防ぐことがあります。この治療法は特に重症例やステロイド治療に反応しない場合に用いられます。

 

予後と注意点

IMTは早期に発見し、適切な治療を行うことで、回復することが期待できます。しかし、治療には長期間を要することが多く、また再発することもあるため治療後も定期的な血液検査を行い、血小板の数をモニタリングすることが重要です。

また、IMTを発症した犬は今後も免疫系の異常に注意が必要です。特定の薬剤やワクチン接種に対して敏感になる可能性があるため、動物病院での治療や予防接種の際には、獣医師と相談の上、慎重な対応が求められます。

 

まとめ

犬の免疫介在性血小板減少症(IMT)は、免疫システムが自身の血小板を攻撃することで発症する病気です。早期の診断と適切な治療が重要であり、特に免疫抑制療法が中心となります。IMTは再発のリスクがあるため、治療後も定期的な健康管理が欠かせません。IMTの疑いがある場合は、早めに動物病院を受診し、獣医師の指導のもと適切な治療を受けることが大切です。

 

 

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