2024/09/03
咳は犬ではよく見られる症状ですが、猫では比較的稀に起こります。しかし、猫が咳を起こすと、重大な病気のサインであることが多いため、早期発見・早期治療を行うことが大切です。
今回は、猫の咳が止まらなくなってしまった場合に考えられる原因や対処法などを解説します。
■目次
1.猫の咳の種類と特徴
2.猫の咳が止まらない原因
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法
6.まとめ
猫の咳の種類と特徴
猫が咳を起こす種類は、主に2つあります。
乾いた咳
「ケンケン」「コンコン」というからっとした咳のことで、冷気やほこりなどを吸ったときや気管支を圧迫したとき、咽喉頭炎や気管虚脱、気管支炎などを患っているときに見られます。
湿った咳
「ゴホゴホ」という痰が絡んだような咳のことで、慢性気管支炎や気管支肺炎、肺水腫、腫瘍などが原因で起こります。また、乾いた咳が長く続くと、湿った咳へと移行します。
咳は持続性によっても分類することができ、それぞれ疑われる原因が異なります。
・一過性:生理的な咳であることがほとんど
・持続的:心肥大による気管支の圧迫など
・発作的な咳:猫喘息など
また、猫の場合は喉に詰まった毛玉を吐き出すなど、咳と間違えやすい症状もあります。
猫の咳が止まらない原因
猫の咳が止まらない場合には、以下のような原因が考えられます。
気道感染症
・猫カリシウイルス
・猫ヘルペスウイルス
・細菌性気管支炎
・マイコプラズマ感染症
慢性気道疾患
・猫喘息
・慢性気管支炎
心臓疾患
・心筋症
・心不全
寄生虫感染
・猫肺虫症
・猫回虫症
その他の原因
・異物の誤飲
・腫瘍(気管、肺)
・アレルギー反応
診断方法
診察の流れとしては、まず問診を行い、いつから症状が出ているのか、どんな咳が出ているのか、咳以外にも何か症状が見られるか、治療中の病気はないか、生活環境などを確認します。診察室では、咳が見られない場合や持続性までは判断できない場合があるため、問診で聞き取った情報が診断に役立ちます。
その後、視診や触診、聴診などの一般身体検査を行い、必要に応じて血液検査やレントゲン検査、気管支鏡検査、心エコー検査なども行い、総合的に診断します。
治療方法
猫が咳を起こす原因や症状に合わせて、抗生物質や抗炎症薬、気管支拡張薬、去痰薬などを組み合わせて治療していきます。また、心臓病薬や寄生虫駆除薬の投与など、咳の原因となっている病気に対する治療も行っていきます。
予防法
上気道感染症を起こしている場合は、定期的なワクチン接種によって予防することができます。完全室内飼育であっても感染のリスクはゼロではないため、かかりつけ医としっかり相談しながらワクチン接種を行いましょう。
また、肥満は咳が悪化する一因となります。そのため、適切な運動と食事管理によって、適正体重をキープしましょう。
さらに、定期的な健康診断による早期発見・早期治療も大切です。咳を引き起こす病気の中には初期症状が現れにくいものもあるため、1年に1回(シニア期以降は半年に1回)を目安に健康診断を受けましょう。
猫の場合は、完全室内飼育を行うことでも咳を引き起こす病気(感染症など)を予防することができます。完全室内飼育は、交通事故や喧嘩によるけがのリスクなども下げることができ、結果的に愛猫の命を守ることができます。そのため、基本的には外に出さず、完全室内飼育を行うようにしましょう。
まとめ
犬と比べて猫の咳は稀ですが、重要な病気のサインである可能性が考えられます。そのため、完全室内飼育やワクチン接種による予防、健康診断による早期発見・早期治療を行うことで、大切な愛猫の命を守ることができます。
また、咳を引き起こす病気が見つかった場合は定期的にケアを行い、万が一呼吸状態や
全身状態が悪化した場合を想定し、獣医師としっかり連携をとっておきましょう。
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