2024/08/17
こんにちは。
世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です。
今回はわんちゃんのリンパ腫についてです。
リンパ腫は、血液系腫瘍の一つで、リンパ組織に発生する悪性腫瘍です。
リンパ組織は、リンパ節、脾臓、骨髄、胸腺などの免疫系に関連する組織や器官に存在し、リンパ球という白血球の一種が多く含まれています。人間の非ホジキンリンパ腫と類似しており、特に中高年齢のわんちゃんに多く見られます。
犬のリンパ腫の種類
リンパ腫は、その発生部位や細胞の形態によりいくつかのタイプに分類されます。主な分類は以下の通りです。
多中心型
最も一般的なタイプで、全体の約80%を占めます。複数のリンパ節が腫大し、進行するにつれて肝臓や脾臓、骨髄などにも浸潤することがあります。
消化管型
消化管(胃や腸)に発生するタイプです。食欲不振、嘔吐、下痢、体重減少などの症状を引き起こすことがあります。
縦隔型
胸部の縦隔(胸腔内の中央部)に発生するタイプです。呼吸困難や咳などの呼吸器症状が現れることがあります。
皮膚型
皮膚や皮膚下の組織に発生するタイプです。皮膚に腫瘤や潰瘍が見られることがあります。
中枢神経型
中枢神経系(脳や脊髄)に発生するタイプです。神経症状が見られることがあります。
症状と診断
リンパ腫の症状は、腫瘍の部位や進行度によって異なります。
多中心型では、最初にリンパ節の腫大が見られ、触診で容易に確認できます。
他のタイプでは、消化器症状や呼吸困難、神経症状などが初期症状として現れることがあります。
診断には、まず臨床症状の評価と身体検査が行われます。次に、リンパ節やその他の腫大した組織からの細胞採取(細胞診)や、組織の一部を取る生検が行われます。
また、血液検査やX線、超音波検査、CTスキャンなどの画像診断が補助的に用いられ、病変の広がりや他の臓器への転移の有無が確認されます。
治療
治療法は、リンパ腫のタイプや進行度、健康状態に応じて異なります。一般的な治療法には以下のものがあります。
化学療法
リンパ腫の治療の主軸となる方法です。複数の抗がん剤を組み合わせて使用することが多く、治療プロトコルが設定されています。化学療法は腫瘍の進行を抑制し、症状の緩和を図ることが目的です。
放射線療法
一部のケースでは、特定の部位に対して放射線療法が行われることがあります。特に、局所的な腫瘍に対して有効です。
外科手術
消化管型や皮膚型のリンパ腫の場合、外科手術で腫瘍を切除することが考慮されることがあります。ただし、多くのケースでは化学療法が優先されます。
免疫療法
新しい治療法として、免疫系を活性化させて腫瘍細胞を攻撃する方法が研究されています。免疫チェックポイント阻害剤などがその一例です。
予後
予後は、タイプや治療法、診断時の進行度によって大きく異なります。化学療法を受けたわんちゃんの多くは、数か月から数年の寛解期を迎えることがあります。しかし、完治は難しく、多くの場合、再発する可能性があります。早期発見と適切な治療が予後を改善する重要な要素です。
生活の質とサポート
治療中の生活の質を保つためには、食事や日常のケアも重要です。特に化学療法中は、吐き気や食欲不振などの副作用が現れることがあるため、栄養バランスの取れた食事等求められます。また、飼い主の心理的サポートも重要であり、獣医師や動物のがん専門医との連携が大切です。
わんちゃんのリンパ腫は飼い主にとって大変つらい経験ですが、適切な診断と治療により、わんちゃんの生活の質を最大限に保ちながら病気と向き合いましょう。
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