2024/07/12
心因性皮膚炎とは、心理的な要因によって起こる皮膚炎のことです。犬や猫では比較的よく見られる病気で、室内飼育が主流となってから増加傾向にあると考えられています。 心因性皮膚炎が重度の場合には、掻き壊しや舐め壊しにまで至ることもあるため、早い段階で対処することが大切です。
今回は犬と猫の心因性皮膚炎について、原因や症状、治療方法などをご紹介します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.ご家庭でできるケア
6.まとめ
原因
心因性皮膚炎は、主にストレスや不安などの心理的要因やアレルギーや感染症などの身体的要因が原因で起こります。
この病気は繊細な性格の犬や猫に起こりやすく、引っ越しなどによる環境の変化や家族構成の変化(赤ちゃんが生まれたなど)、騒音などに対して大きなストレスを感じることが多いとされています。
また、運動不足によりストレスが発散できない場合や、お留守番の時間が長いことがきっかけで発症することもあります。
症状
犬や猫が心因性皮膚炎を起こすと過剰なグルーミング(毛づくろい)や、掻く、噛むといった症状が見られます。また、症状が長引くと皮膚の発赤や脱毛なども見られるようになります。
重度の場合は、皮膚に傷ができるまで掻き壊したり舐め壊したりして、出血や細菌感染を起こす場合もあるため、なるべく早い段階で対処することが大切です。
診断方法
心因性皮膚炎の診断には、特定の検査で確定できる方法はありません。
そのため、症状や行動から推測し、血液検査や皮膚検査などを行い、他の皮膚疾患と鑑別することで診断を行います。
治療方法
心因性皮膚炎の治療方法は、ストレスを軽減させることです。
ストレスの原因がわかっている場合、可能な限り原因を取り除いていきます。ただし、引っ越しや家族構成の変化など、原因を取り除くことが難しい場合には、なるべくストレスを軽減できるよう、愛犬や愛猫とのコミュニケーションの時間を増やしたり1人で静かに過ごせる環境を作ったりといった環境改善を行うことが大切です。
その他にも必要に応じて抗不安薬などを使った薬物療法を併用します。
さらに、抗生剤やかゆみ止めなどを使った薬物療法やシャンプー療法を行い、物理的に掻いたり舐めたりできないようエリザベスカラーを装着し、皮膚炎そのものに対する治療も行っていきます。また、皮膚を健やかに保つために、食事療法やサプリメントを取り入れることもあります。
心因性皮膚炎はストレスを感じやすい性格によるところも大きいため、定期的に通院し、モニタリングを行っていきます。
ご家庭でできるケア
繰り返しになりますが心因性皮膚炎は、ストレスの原因を特定し、除去することが大切です。原因の特定や除去が難しい場合には、適切な運動とスキンシップなどによるメンタルケアを行ったりスキンケアやサプリメントなどを活用したりすると良いでしょう。
また、心因性皮膚炎は早い段階で発見し、適切な治療を行うことで改善が期待できます。そのため、かかりつけの獣医師としっかりと連携するようにしましょう。
まとめ
心因性皮膚炎は犬と猫の心身の健康を反映しています。犬や猫はストレスを感じやすく、飼い主様が思いもよらないことに対して敏感になってしまうケースもあります。そのため、日頃から愛犬・愛猫の様子や行動をよく観察し、万が一症状が見られたら動物病院へ相談をし、早期発見・早期治療を心がけましょう。
また、心因性皮膚炎を治療するためには、ストレスの原因を取り除く必要があり、飼い主様の理解とサポートが欠かせません。そのため、獣医師としっかり連携をし、愛犬・愛猫の健康を守りましょう。
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