2024/05/30
こんにちは!世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です。
今回は自己免疫性溶血性貧血(以下AIHA)についてです。
自己免疫性溶血性貧血(以下AIHA)は、犬や猫において深刻な疾患であり、自己の免疫系が誤って赤血球を攻撃し破壊することで貧血を引き起こします。
この疾患について詳しく説明します。
自己免疫性溶血性貧血とは?
AIHA(Autoimmune Hemolytic Anemia)は、自己免疫疾患の一種であり、犬や猫の免疫システムが自分の赤血球を外敵と誤認し攻撃することで発症します。これにより赤血球が破壊され、貧血を引き起こします。AIHAは、一次性(原因不明)と二次性(他の疾患や要因による)の二つに分類されます。
一次性AIHAは、明確な原因がなく発症するもので、特発性と呼ばれます。このタイプは犬において特に多く見られます。
二次性AIHAは、感染症、薬剤反応、腫瘍、その他の免疫系疾患など、特定の原因によって引き起こされます。
症状
AIHAの症状は貧血によるもので、多岐にわたります。以下に主な症状を挙げます。
黄疸:赤血球の破壊によりビリルビンが増加し、皮膚や目が黄色くなります。
虚弱:酸素運搬能力の低下により、全身の虚弱感が生じます。
食欲不振:体力低下に伴い、食欲が減退します。
発熱:炎症反応により体温が上昇します。
心拍数の増加:酸素供給を増やすために心拍数が上昇します。
呼吸困難:酸素不足により呼吸が速くなります。
診断
AIHAの診断には複数の検査が必要です。
血液検査
血液検査は最も重要な診断方法です。以下のポイントを確認します。
赤血球数の減少:溶血性貧血を示します。
ビリルビンの増加:赤血球の破壊に伴います。
ヘモグロビンの低下:赤血球が破壊されると、血中のヘモグロビンが減少します。
網赤血球の増加:赤血球の破壊を補おうとする骨髄の反応です。
直接クームス試験
直接クームス試験は、赤血球表面に付着している自己抗体や補体を検出するために行います。この試験が陽性の場合、自己免疫性溶血性貧血が疑われます。
その他の検査
感染症、腫瘍、薬剤反応など、二次性AIHAの原因を特定するために追加の検査が行われることがあります。
治療
AIHAの治療は、病態の重症度や原因によって異なりますが、一般的には以下のようなアプローチが取られます。
免疫抑制療法
コルチコステロイド:プレドニゾロンなどのコルチコステロイドは、免疫系の活動を抑制するために使用されます。これにより、自己抗体の生成が抑えられ、赤血球の破壊が減少します。
シクロスポリン:コルチコステロイドが効果を示さない場合や副作用が強い場合には、シクロスポリンが代替薬として用いられることがあります。
補助療法
輸血:重度の貧血の場合、輸血が必要となることがあります。ただし、輸血は一時的な対処法であり、根本的な治療ではありません。
保護的ケア:感染症のリスクを減らすための抗生物質の使用や、必要に応じて流動食の提供なども行われます。
予後と管理
AIHAの予後は個々のケースにより異なります。早期に診断され適切な治療が行われれば、回復の可能性は高まりますが、慢性化することもあります。長期的な管理が必要となることが多いため、定期的な診察が不可欠です。
定期検査
血液検査:治療の効果をモニタリングし、貧血の進行や再発を早期に発見するために定期的な血液検査が行われます。
薬物療法の調整:症状の改善や副作用の出現に応じて、薬物療法の調整が行われます。
生活環境の整備
ストレスの軽減:ストレスが免疫系に影響を与えるため、できるだけストレスの少ない環境を提供することが重要です。
栄養管理:バランスの取れた食事を提供し、体力の維持に努めます。
まとめ
自己免疫性溶血性貧血は、犬や猫において重篤な疾患であり、早期発見と適切な治療が鍵となります。免疫抑制療法や補助療法を組み合わせることで、症状の管理と生活の質の向上が期待できます。定期的な診察と適切な生活環境の整備を通じて、長期的な健康管理を行うことが重要です。
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