2024/05/26
こんにちは!
世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です。
今回は肛門腺(肛門嚢)炎についてお話しいたします。
肛門腺(肛門嚢)とは
主に犬や猫などの動物に見られる小さな腺で、肛門の両側にあります。
肛門腺は、独特なにおいを持つ液状のものを分泌(※1)し、コミュニケーションやマーキングの役割を果たしています。
排便した時、興奮した時に自然に出ることが多いですが、出ない場合もあります。
出ない場合は、手で圧迫して出すことが必要となります。
放置していると、感染や詰まり、炎症、破裂などが起こります。
(※1)分泌液には個体差があるので、サラサラした液体もあれば、粘土の様なものもあります。
肛門腺(肛門嚢)炎とは
肛門腺炎は、犬や猫の肛門腺で炎症を起こしている状態です。
非常に一般的で、特に犬に多く見られます。
肛門腺炎は軽度の炎症から重度の感染に至るまで、さまざまな症状を引き起こします。
原因
1.分泌液の排出障害
①分泌液の過剰分泌
過剰に生成された肛門腺の分泌液が自然に排出されない場合、肛門腺が詰まることがあります。
このことが原因で、炎症や感染が起こります。
②排出経路の閉塞
分泌液の排出経路が詰まる(閉塞する)と、分泌液が肛門腺内に溜まり、細菌が繁殖しやすくなります。
2.細菌感染
①皮膚や肛門からの細菌侵入
肛門周りの皮膚や肛門から細菌が肛門腺に侵入し、感染を引き起こすことがあります
特に傷や炎症がある場合、細菌が侵入しやすくなります。
②便による汚染
排便時に便が肛門腺の開口部に接触し、細菌が肛門腺内に入り込むことがあります。
3.アレルギー
①食物アレルギー
特定の食材に対するアレルギー反応が肛門腺の炎症を引き起こすことがあります。
②環境アレルギー
ダニ、花粉、化学物質などの環境アレルゲンが原因で、肛門腺で炎症を起こすことがあります。
4.外傷や刺激
①外部からの圧力や摩擦
激しい運動や外部からの圧力、摩擦が肛門腺にダメージを与え、炎症を引き起こすことがあります。
②引っ掻き傷や噛み傷
自分で舐めたり引っ掻いたり、他の動物との争いによる傷が原因で肛門腺で炎症を起こすことがあります。
5.便通の問題
①便秘
便が硬くなると、排便時に肛門腺の開口部が圧迫されて排出が妨げられることがあります。
このことが原因で分泌液が溜まり、炎症を引き起こすことがあります。
②下痢
頻繁な下痢は肛門周りの皮膚を刺激し、肛門腺の炎症を引き起こすことがあります。
6.免疫力の低下
①病気やストレス
免疫力が低下している時は感染症にかかりやすく、肛門腺の炎症が発生しやすくなります。
②加齢
年齢を重ねると免疫力が低下し、肛門腺の健康状態も悪化しやすくなります。
症状
1.肛門周りの痒み
頻繁に肛門周りを舐めたり、噛んだりします。
2.スコーティング
お尻を地面に擦り付ける行動(スコーティング)を行います。
3.腫れと赤み
肛門周りが腫れて赤くなり、触ると痛がることがあります。
4.悪臭
肛門腺から悪臭がすることがあります。
分泌液が溜まっている場合、特に強い臭いがします。
5.膿の排出
感染が進行し、肛門周りに膿が見られることがあります。
診断
獣医師が以下の方法で診断を行います。
1.視診と触診
肛門周りを視診し、触診して異常がないか確認します。
2.分泌液のチェック
肛門腺から分泌液を絞り出し、その色や状態をチェックします。
膿や血液が混ざっている場合は感染が疑われます。
3.細菌培養
分泌液を採取して細菌培養を行い、感染している細菌を特定します。
治療
1.肛門腺の絞り出し
獣医師が肛門腺の分泌液を絞り出し、溜まった分泌液を排出します。
2.抗生物質の投与
細菌感染が確認された場合、抗生物質を投与して感染を治療します。
3.抗炎症薬
炎症を抑えるために、抗炎症薬が処方することがあります。
4.痛み止め
痛みが強い場合、痛み止めが処方することがあります。
5.適切なケア
家庭で行えるケア方法を指導します。
肛門周りの清潔を保つことも重要です。
予防
1.定期的なケア
①肛門腺絞り
定期的に肛門腺の分泌液を絞り出して、溜まるのを防ぎます。
②清潔を保つ
肛門周りを清潔に保つことが重要です。
排便後に肛門周りを拭くことが推奨されています。
2.適切な食事管理
①高繊維食
高繊維の食事を与えることで便通を良くし、肛門腺の自然な排出を促進します。
②アレルゲンの排除
食物アレルギーが疑われる場合、獣医師指導の下でアレルゲンを特定し、除去することが必要となります。
3.日常の観察
①行動のチェック
肛門周りを頻繁に舐めたり、床にお尻を擦り付ける行動、悪臭がしていないかをチェックします。
②皮膚の状態のチェック
肛門周りの皮膚に赤みや腫れがないかを確認します。
4.定期的な獣医師の診察
定期的に獣医師の診察を受け、肛門腺の状態をチェックします。
特に肛門腺炎の既往歴がある場合は注意が必要となりますので、定期的に診察を受けてください。
まとめ
肛門腺炎は早期に発見し、適切に対処することが重要となります。
破裂する場合もありますので、異常が見られた場合は速やかに獣医師に相談してください。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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