2024/05/09
ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミに刺された際にノミの唾液が犬の皮膚に侵入することでアレルギー反応が起こり、強いかゆみが現れます。
体質的にノミに刺されてもアレルギー反応を起こさない犬もいますが、繰り返し刺されることでアレルギーを起こしやすくなり、発症することがあります。
犬のノミアレルギー性皮膚炎では、治療も予防も徹底することが必要なため、特にノミの活動時期にはしっかりとノミ予防をしてあげましょう。
今回は犬のノミアレルギー性皮膚炎について、原因や症状、治療方法などをご紹介します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
ノミは犬や猫の体表に寄生して、血を吸って生きる吸血性の昆虫です。
ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミが吸血する際に皮膚の中に入ったノミの唾液によってアレルギー反応を起こします。体質的にノミの唾液にアレルギーを持っていない犬であれば、ノミに刺されてもアレルギー反応は起こしません。
しかし、現在ノミに刺されてもアレルギーが起きないからといって、今後もノミアレルギー性皮膚炎にならないわけではありません。
というのも、繰り返しアレルゲン(アレルギーの原因物質)に曝露されることで、アレルギーが発症しやすくなります。
ノミアレルギー性皮膚炎の場合は、ノミの寄生が始まってから3ヶ月後くらいに発症するケースもあり、当院では11月くらいにノミに寄生され、翌年の1月にかゆみが出てくることもありました。
一度発症すると、1匹のノミに吸血されただけでも広い範囲で激烈な皮膚症状が現れます。そのため、徹底したノミ予防が重要です。
症状
ノミアレルギー性皮膚炎の症状は、背中の上の方と尻尾の付け根あたりに、突然、激しいかゆみが出るのが特徴です。
皮膚病の中でも最強クラスのかゆみが現れ、犬が患部を掻き壊してしまうため、脱毛やかさぶた、出血が見られます。
診断方法
犬の皮膚を観察したり、ノミ採り用の細かいコームを使用したりして、ノミやノミの糞を探します。血を吸って栄養を得ているノミの糞は、水に濡らすと赤黒くにじみます。
ノミの寄生が少数の場合は、見つけることが難しい場合もありますが、ノミの予防歴や普段のお散歩コース、生活環境などからノミアレルギー性皮膚炎を疑うこともあります。
治療方法
駆虫薬でアレルギーの原因であるノミを駆除し、今出ている強いかゆみをステロイドで抑えます。
かゆみは、ステロイドの投与で一時的に治りますが、ノミに寄生されると再び発症するため、ノミ予防は継続的に行うことが重要です。
また、ノミの成虫は犬の体に寄生しますが、ノミの卵の場合、毛布やタオル、カーペットなど、犬の生活環境に存在し、成虫になるまで成長した後、再び犬に寄生します。
ノミの繁殖力は非常に強く、1匹で400〜1,000個もの卵を産みます。
ご家庭の愛犬がノミに寄生した場合は、粘着シートや掃除機などで室内を徹底的に掃除し、タオルなど洗濯できるものは洗濯をして、天日干ししたり、60℃以上の高温で乾燥しましょう。
ノミ駆除剤の使用も効果的ですが、1回では駆除しきれない場合があるため、複数回使用することをおすすめします。また、駆除剤の使用後は丁寧に掃除機をかけましょう。
予防法やご家庭での注意点
ノミアレルギー性皮膚炎の予防には、徹底したノミ予防を行うことが重要です。
屋外では主に草むらなどに潜んでいて、春から秋にかけて活発的に動きます。
「うちの子はお散歩で草むらに近づないから」「完全室内飼いだから」とノミ予防をされない飼い主様がいますが、他の犬との接触で感染することもあります。また、犬が外に出なくても飼い主様の洋服などについて外から家の中に入ることもあります。
いつノミに寄生されるかわからないため、駆虫薬をきちんと使用し、ノミ予防をしてあげましょう。
ノミ予防薬には、塗布するタイプ、内服するタイプなど様々あります。
効果期間もそれぞれ異なるため、ご家庭で使いやすいものを選びましょう。
なお、ホームセンターなどで購入できるノミ予防グッズ(首輪やシャンプー)では、ノミは完全には予防できません。ノミとり首輪をつけていてもノミが寄生してしまったということはあるため、動物病院で処方される駆虫薬で予防を行うことがおすすめです。
まとめ
今回はノミアレルギー性皮膚炎について紹介しました。
ノミの唾液に対するアレルギー反応で、非常に強いかゆみが特徴ですが、アレルギーをいつ発症するかは犬により異なります。
また、ノミに継続して刺され続けることで発症しやすくなるため、特にノミの活動が活発的になる春から秋にかけては、しっかりノミ予防をしてあげましょう。
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