2024/04/11
軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう)は、フレンチ・ブルドッグやパグ、シー・ズー、チワワなどの鼻の低い犬種に多い呼吸器の病気です。
軟口蓋(喉の手前にあるやわらかい口の天井部分)が生まれつき長く、これが空気の通り道を塞ぐため、呼吸をするときにブーブーといびきのような音が出ます。
軟口蓋過長症の犬は熱中症や麻酔のリスクが高く、また将来的に気管低形成につながる可能性もあるため、当院では若い時期(不妊手術前)での手術をお勧めしています。
今回は犬の軟口蓋過長症について、原因や症状、治療方法などをご紹介します。
■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ
原因
軟口蓋過長症は先天性(生まれつき)の病気です。
犬種でいえば、フレンチ・ブルドッグ、パグ、シー・ズー、チワワなど短頭種と呼ばれる鼻の低い犬種で特に多いですが、それ以外の犬種でも見られます。
先天性のため、子犬の時期から症状が現れることもあります。
症状
呼吸をするときにブーブー・ガーガーといびきのような音がします。
また、長すぎる軟口蓋によって空気の通り道(気道)が塞がれたり狭められたりするため、呼吸がしにくくなり、呼吸が粗く口でゼーゼーと呼吸をすることもあります。
特に暑い日や運動後、興奮時にひどくなり、酸素が不足して舌が青紫色になったり(チアノーゼ)、失神したりすることもあります。
また、そもそも運動自体をしたがらない犬もいます。
犬は体温が上がると呼吸を増やすことで空気を入れ替えて体温を下げようとしますが、軟口蓋過長症の犬は呼吸が妨げられているため、熱中症になりやすくなります。
診断方法
身体検査と症状、犬種などから診断します。
最も確実な診断方法は軟口蓋を内視鏡か目視で直接観察することですが、軟口蓋は口の奥、喉の手前にあるため、直接観察するには鎮静や麻酔が必要です。
軟口蓋過長症以外にも気道系の異常があるケースがあるため、レントゲン検査など追加で検査を行います。
特に短頭種では、軟口蓋過長症以外にも先天性の気道の奇形が複数見られる短頭種気道症候群を起こしていることもあるため、注意深く診断する必要があります。
治療方法
外科手術で長すぎる軟口蓋を切って正常の長さにします。
軟口蓋過長症は将来的に気管低形成というほかの気道系の病気につながる可能性があるため、当院では若い時期(具体的には避妊・去勢手術前)の手術をおすすめしています。
また、軟口蓋過長症や気管低形成など気道系の病気がある犬は麻酔のリスクが高いですが、若い時期に治療をすることで大人になってからの麻酔のリスクが下げられます。
犬は歯石が溜まりやすく、歯周病の治療として麻酔をかけての処置が必要なことも多いですが、麻酔のリスクが高いままだと十分な処置が行えず、犬のQOLを下げてしまうこともあります。少しでも健康で元気な若い時期に手術をしてあげましょう。
当院でも軟口蓋過長症の手術は可能ですので、お気軽にご相談ください。
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予防法やご家庭での注意点
先天性の病気のため、予防法はありません。
早期発見と早期治療が大切なので、普段から呼吸音には注意して、異常があれば早めに動物病院に受診しましょう。
まとめ
今回は犬の軟口蓋過長症を紹介しました。
この病気は生まれつきのもので、いびきのような呼吸音が特徴です。
一見苦しそうに見えなくても、「ブヒブヒ」「ガーガー」という呼吸音は正常ではありません。
子犬の時期から症状は現れますので、気になる様子があればお早めにご相談ください。
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