2025/03/04
こんにちは!
世田谷区等々力にありますけいこくの森動物病院です🌳
網膜剥離は、わんちゃんやねこちゃんの視力に深刻な影響を与える病気の一つです。放置すると失明につながることもあるため、飼い主の皆さんには早期発見と適切な対応が求められます。今回は、網膜剥離の原因、症状、診断方法、治療法についてご説明いたします。
網膜剥離とは?
網膜は目の奥にある光を感知する組織で、カメラのフィルムのような役割を持っています。この網膜が本来の位置から剥がれることを網膜剥離といいます。剥離が進行すると視覚情報が正しく脳に伝わらなくなり、視力が低下します。👀
原因
網膜剥離の原因は大きく分けて以下の4つがあります。
高血圧
特にねこちゃんでは、慢性腎臓病や甲状腺機能亢進症に伴う高血圧が原因となることが多いです。高血圧によって網膜の血管が破れ、出血や浮腫(むくみ)が生じ、網膜が剥がれます。
外傷
事故や高所からの落下、頭部への衝撃が原因で網膜が損傷し、剥がれることがあります。
遺伝的要因
一部の犬種(コリー、シーズー、ラブラドール・レトリーバーなど)では、遺伝的に網膜剥離が起こりやすいことが報告されています。
炎症や感染症
ぶどう膜炎やトキソプラズマ症などの感染症が原因で網膜剥離を引き起こすことがあります。
症状
わんちゃんやねこちゃんは言葉で症状を訴えられないため、以下のような行動の変化に注意しましょう。
① 視力の低下・失明
✅ ものによくぶつかる – 机や壁など、普段ぶつからない場所で衝突することが増える
✅ 暗い場所で動きにくそうにする – 夜や薄暗い部屋で歩きにくそうにする
✅ おもちゃを見つけられない – 目の前におもちゃを出しても、反応しない
網膜が完全に剥がれると失明状態になり、突然歩かなくなることもあります。
② 瞳孔の異常
✅ 瞳孔が開きっぱなしになる(散瞳) – 明るい場所でも黒目が大きく開いたままになる
✅ 光に対する反応が鈍い – 懐中電灯などの光を当てても、瞳孔が縮まらない
網膜が正常に機能していないと、目が光を感知できなくなり、瞳孔の調整ができなくなります。
③ 目の動きの異常
✅ 眼振(がんしん) – 目が小刻みに揺れるように動く
✅ 焦点が合わない – 目が泳いでいるように見えたり、視線が定まらない
視覚情報が正しく脳に伝わらなくなるため、目の動きが不安定になることがあります。
④ 目の見た目の変化
✅ 目の奥が白っぽく見える – 眼底出血や炎症があると、目の奥が濁って見えることがある
✅ 目が赤く充血する – 高血圧や炎症によって目の血管が破れることがある
特に高血圧が原因の網膜剥離では、目の充血や眼底出血が見られることが多いです。
片目のみの網膜剥離では気づきにくいこともありますが、両目に進行すると急激に行動が変わるため、異常を感じたら早めに受診しましょう。
診断方法
動物病院では、以下のような方法で診断を行います。
① 眼底検査(眼科スリットランプ・検眼鏡)
網膜の状態を直接観察するために行う検査です。
🔍 直接検眼鏡
獣医師が直接眼底を観察し、網膜の剥離や血管の異常を確認します。
② 眼球超音波検査(超音波エコー検査)
網膜剥離が重度で、眼底検査で確認できない場合に有効な検査です。
- 超音波プローブを目の上に当て、眼球内部の状態を映像化します。
- 網膜が浮いているかどうかを視覚的に確認できます。
- 出血や腫瘍の有無も評価可能です。
特に硝子体出血(眼の内部の出血)がある場合、眼底検査では網膜の状態を確認できないため、超音波検査が重要になります。
③ 血圧測定(高血圧の評価)
特にねこちゃんでは高血圧が網膜剥離の主な原因となるため、血圧測定は重要です。
- オシロメトリック法(カフを巻いて測定)
- ドップラー法(超音波を使って血流を測定)
収縮期血圧が160mmHg以上の場合、高血圧の可能性があります。180mmHgを超えると、網膜剥離のリスクが高くなります。
④ 血液検査(基礎疾患のチェック)
高血圧の原因や、炎症・感染症の影響を調べるために血液検査を行います。
✅ 腎臓病の評価(BUN・CRE)
腎不全があると高血圧を引き起こし、網膜剥離のリスクが高まります。
✅ 甲状腺ホルモン(T4測定)
高齢の猫では甲状腺機能亢進症が原因で高血圧になり、網膜剥離を引き起こすことがあります。
✅ 炎症マーカー(白血球数・CRPなど)
感染症やぶどう膜炎などの炎症性疾患が関与している場合、炎症マーカーが上昇します。
治療法
治療法は原因や剥離の程度によって異なります。
高血圧が原因の場合
降圧薬を投与し、血圧をコントロールすることで、網膜が元の位置に戻る可能性があります。早期の対応が重要です。
外傷や遺伝的な網膜剥離
剥離が重度の場合、外科手術(網膜復位術)が検討されます。ただし、わんちゃんねこちゃんにおいては手術が難しく、視力が回復しにくいこともあります。
炎症や感染症が原因の場合
抗炎症薬や抗生物質の投与によって炎症を抑え、症状の進行を防ぎます。
予防と早期発見のポイント
網膜剥離の予防には、以下のことが重要です。
✅ 定期的な健康診断 – 特に高齢のねこちゃんは、腎臓病や高血圧のリスクが高いため、定期的な血圧測定や眼底検査を受けましょう。
✅ 家庭での観察 – 目の異常や行動の変化に気づいたら、すぐに獣医師に相談しましょう。
✅ 高血圧の管理 – 高血圧になりやすいねこちゃんでは、食事管理や投薬を適切に行い、血圧の急上昇を防ぐことが重要です。
まとめ
わんちゃんねこちゃんの網膜剥離は、早期発見・早期治療が鍵となる病気です。特に高齢のねこちゃんは高血圧による網膜剥離のリスクが高いため、定期的な健康診断を受けることをおすすめします。もし「最近よくぶつかる」「目の色や反応がおかしい」と感じたら、すぐに動物病院へ相談してください。
目の健康を守るために、日頃の観察と予防を心がけましょう!😊
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