2024/11/13
こんにちは!
けいこくの森動物病院です。
今日は猫ちゃんの糖尿病についてご説明します。
多飲多尿と聞くと、腎臓病を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?ところが、多飲多尿の原因には糖尿病が隠れていることもあります。この記事では、猫ちゃんの糖尿病について症状や診断、治療法などについて解説していきます。ぜひ、早期発見、早期治療に役立ててください!
猫の糖尿病とは?
猫の糖尿病は、人間と同じように血糖値が慢性的に高くなる病気です。体内で血糖値を調節するホルモン「インスリン」の分泌量が不足したり、インスリンの効果が弱くなったりすることで、血液中の糖(ブドウ糖)が過剰に蓄積されてしまいます。糖尿病は全身にさまざまな影響を及ぼし、進行すると合併症を引き起こす可能性があるため、早期発見と治療が重要です。
糖尿病の種類
猫の糖尿病は大きく分けて2つのタイプがあります。
①インスリン依存型(1型)
これは、インスリンを分泌するすい臓のβ細胞が破壊され、インスリンの分泌が極端に不足してしまうタイプです。インスリンの注射が欠かせないため「インスリン依存型」と呼ばれますが、猫ではこのタイプは比較的まれです。
②インスリン非依存型(2型)
猫ちゃんの糖尿病のほとんどがこのタイプです。インスリンは分泌されているものの、細胞がインスリンに対して抵抗を持ってしまい、正常に作用しない状態です。このタイプの糖尿病は肥満や加齢が原因で発症することが多く、生活習慣の見直しが治療に役立つケースもあります。
猫の糖尿病の原因
糖尿病の原因には、以下のような要因があります。
① 肥満
過剰な体重は、インスリンの効き目を低下させる原因になります。特に中高齢の猫や運動不足の猫が糖尿病を発症しやすい傾向にあります。
②遺伝的要因
一部の猫種は遺伝的に糖尿病になりやすいと言われています。例えば、バーミーズという猫種は糖尿病のリスクが高いとされています。
③加齢
年齢が上がるにつれてインスリンの働きが低下し、糖尿病のリスクが高まります。中高齢(7歳以上)の猫ちゃんで発症が多くなります。
④ホルモン異常
甲状腺機能亢進症やクッシング症候群など、ホルモンに関連する病気もインスリンの効き目に影響を及ぼし、糖尿病の発症リスクを上げます。
糖尿病の症状
糖尿病の猫に見られる典型的な症状には、次のようなものがあります。
①多飲・多尿
血糖値が高いと、腎臓が過剰な糖を排出しようとするために尿が増え、それに伴い水分摂取も増えます。
②体重減少
細胞が十分なエネルギーを取り込めないため、体が筋肉や脂肪を分解してエネルギー源として使い、体重が減少します。
③食欲の変化
食欲が増えたり減ったりすることがあります。特に初期の段階では食欲が増えることが多いですが、進行すると食欲が低下することもあります。
④元気の低下や被毛の質の低下
活動量が減ったり、毛艶が悪くなったりします。糖尿病が進行するにつれて、全身状態が悪化しやすくなります。
診断方法
糖尿病の疑いがある場合、動物病院では血液検査や尿検査を行って診断します。具体的には以下の項目を調べます。
①血糖値
高血糖状態が続いているかを確認します。猫はストレスがかかると一時的に血糖値が上がることがあるため、注意深く判断します。
②尿糖
尿に糖が混じっているかどうかを確認します。尿に糖が検出されると糖尿病の可能性が高いです。
③フルクトサミン値
過去2週間の血糖状態を反映する指標で、糖尿病の継続的な管理に役立ちます。
治療方法
猫の糖尿病の治療には、インスリン注射と生活習慣の改善が基本となります。
①インスリン注射
インスリン依存型、もしくは重度のインスリン非依存型の糖尿病では、インスリンの注射が必要です。飼い主さんが自宅で毎日インスリンを注射することで、血糖値を安定させます。インスリンの量や注射のタイミングは猫ちゃんそれぞれの状態に応じて動物病院で指導を受けます。
②食事療法
糖尿病適した食事を与えることも重要です。高タンパク・低炭水化物のフードが推奨されることが多く、血糖値の急激な上昇を防ぐために食事内容に工夫をします。また、肥満の猫ちゃんには適切な減量を促す食事管理も必要です。
③運動
適度な運動も血糖値の安定に役立ちます。遊びを取り入れたり、猫の運動量を増やす工夫をすると良いでしょう。
④経口薬
猫ちゃんの糖尿病治療に使用される経口血糖降下薬が登場しました。インスリン非依存型糖尿病(2型)において、インスリン抵抗性を改善し、血糖値を下げる効果があります。ただし、猫ちゃんの状態や病状によって効果が異なるため、使用前には必ず獣医師の指導を受けることが重要です。
治療の注意点と日常の管理
猫ちゃんの糖尿病は、治療を怠ると全身に合併症が生じるリスクが高まります。低血糖(血糖値が低すぎる状態)は命にかかわる危険があるため、インスリン注射の量を誤らないように注意が必要です。また、定期的に動物病院で血糖値のモニタリングを行い、必要に応じてインスリンの量を調整します。
糖尿病の治療には飼い主さんの継続的なケアが欠かせません。毎日の食事、インスリン注射の管理、定期的な血糖値の確認など、日々のケアが猫ちゃんの健康を守るために必要です。
糖尿病の予防
糖尿病の予防には、肥満を防ぐことが大切です。肥満は糖尿病の発症リスクを高めるため、適切な体重管理を行い、バランスの良い食事と運動を心がけましょう。
まとめ
猫の糖尿病は、進行すると命にかかわる可能性がある病気ですが、適切な治療と管理で症状のコントロールが可能です。飼い主さんの日常的なケアと、定期的な動物病院での検診を通じて、愛猫の健康を守りましょう。糖尿病が疑われる症状が見られた場合には、早めにかかりつけの動物病院に相談し、早期治療につなげることが重要です。
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