2025/04/18
こんにちは、世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です🌳
今回は、猫ちゃんの間でとてもよく見られる「猫ウイルス性鼻気管炎」についてご紹介します。
「くしゃみや鼻水が続いてるけど、ただの風邪?」「ほかの子にも移る?」
そんな疑問をお持ちの飼い主さま、ぜひこの記事を参考にしていただければと思います!
猫ウイルス性鼻気管炎とは?
猫ウイルス性鼻気管炎(Feline Viral Rhinotracheitis:FVR)は、「猫ヘルペスウイルス1型(FHV-1)」というウイルスが原因で起こる感染症です。
この病気は、いわば猫の「風邪」のようなもので、特に鼻や喉、目などの上部気道に症状が出やすくなります。
また、非常に感染力が強く、多頭飼育や保護猫施設、ペットホテルなどでは集団感染を引き起こすこともあります。
主な症状は?
ウイルス性鼻気管炎にかかると、以下のような症状が見られます:
- くしゃみ
- 鼻水(透明〜膿性)
- 目やに・結膜炎
- 涙目・目の充血
- 元気消失
- 食欲低下
- 発熱
重症になると、呼吸困難や肺炎を引き起こすこともあり、特に子猫や老猫、免疫力の弱い子は注意が必要です。
また、猫ヘルペスウイルスは目にも影響を及ぼし、角膜炎や角膜潰瘍といった目の病気を併発することもあります。
どのように感染するの?
主に以下の経路で感染します:
- 感染猫のくしゃみ・鼻水・唾液・目やにとの接触
- 食器・毛布・トイレなどを共有することでの間接的な感染
- 人の手や服に付着したウイルスを介しての接触感染
特に、感染している猫がくしゃみをすると、ウイルスが空気中に飛び散り、近くの猫にうつることがあります。
また、怖いのは「キャリア」の存在です。
猫ヘルペスウイルスは、一度感染するとウイルスが神経節(特に三叉神経節)に潜伏し、猫の体内に居続けることがわかっています。
キャリアとなった猫は、普段は無症状でも、ストレス(引っ越し・環境の変化・通院・ワクチン接種など)や免疫力の低下をきっかけにウイルスが再活性化し、再びくしゃみ・鼻水・目やになどの症状が出ることがあります。
さらに、症状が軽くてもウイルスを排出して他の猫に感染させる可能性があるため、多頭飼いのご家庭では特に注意が必要です。
診断方法は?
猫ヘルペスウイルス感染症の確定診断には、鼻腔や口腔粘膜、結膜などのぬぐい液を採取して遺伝子検査(PCR検査)を行う方法があります。
ただし、こうした検査は費用や時間がかかることが多いため、実際の診療現場では、
- 身体検査(くしゃみや目やになどの症状の有無)
- 血液検査(炎症の有無)
- 画像検査(重度の肺炎が疑われる場合など)
- 臨床症状や病歴(ワクチン歴、多頭飼育かどうか、急性発症かなど)
といった情報を総合的に判断しながら、治療を始めるケースが多いです。
症状が似ている他の感染症(カリシウイルスやクラミジアなど)との鑑別も考慮しながら、慎重に診断を進めていきます。
治療法はあるの?
猫ヘルペスウイルスそのものを完全に体から排除する治療法はありません。
そのため、治療の目的は以下のような「対症療法」が中心になります。
- 抗ウイルス薬(点眼薬・内服薬など)
- 抗生物質(二次感染予防)
- 目薬・点眼治療
- 栄養補助・脱水予防の点滴
- ネブライザー(吸入療法)による鼻づまりの緩和
また、ストレスを軽減したり、免疫力を高めるサプリメントの使用も効果的です。
症状が落ち着いた後も、再発防止のための体調管理がとても大切になります。
家庭でのケアのポイント
病院での治療と並行して、ご家庭でのサポートも重要です。
- こまめに目やに・鼻水を拭いてあげる(ぬるま湯で優しく)
- 加湿器などで部屋の湿度を保つ
- 栄養価の高いフードを与え、食欲をサポート
- 無理な環境の変化を与えず、ストレスを避ける
症状がひどい時は、ご飯の匂いがわからなくなって食べられないこともあります。そんなときは温めたフードやウェットフードなど、嗅覚を刺激するものを与えると食べてくれることがあります。
予防法は?
最も効果的なのはワクチン接種です。
猫ウイルス性鼻気管炎は、猫の三種混合ワクチンに含まれており、定期的な接種により、発症を防ぐことができます。
- 子猫の初年度:生後8週齢から2〜3回の接種
- 成猫:年に1回の追加接種
完全に感染を防ぐことはできませんが、ワクチンを打っておくことで、発症しても軽症で済む可能性が高くなります。
他の猫にうつさないために
もし愛猫がウイルス性鼻気管炎にかかったら、他の猫への感染を防ぐために以下の点に注意しましょう:
- 隔離する(トイレ・食器を共有しない)
- 手洗い・消毒を徹底する
- 定期的に使ったタオルや毛布を洗濯する
- ペットホテルや譲渡会への参加を控える
多頭飼いの場合は、同居猫全員の体調管理が必要です。症状がなくても、キャリアの可能性があるため、注意深く観察しましょう。
まとめ
猫ウイルス性鼻気管炎は、「ただの風邪」と侮れない感染症です。
慢性化や再発を防ぐには、早期発見と早期治療、そしてワクチンによる予防が大切です。
「最近くしゃみが多いな…」
「涙が止まらないみたい…」
そう感じたら、ぜひ一度当院にご相談ください。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
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