2025/04/17
こんにちは!けいこくの森動物病院です。
今回は巨大食道症についてお話しします。
「ごはんを食べたあと、急に吐いちゃった…」
「よくむせるし、最近やせてきたかも」
こんな症状が続いていると、飼い主さんとしては本当に心配になりますよね。
もしかすると、それは犬の巨大食道症(きょだいしょくどうしょう)かもしれません。
この病気は、早期発見・適切な管理がとても大切。今回は、症状や原因、治療法まで、わかりやすくご紹介します。
巨大食道症ってどんな病気?
巨大食道症とは、食道が異常に拡張し、食べ物や水をうまく胃まで運べなくなる病気です。
本来、食道は蠕動運動(ぜんどううんどう)という動きをして、飲み込んだものをスムーズに胃へと運びます。ところが巨大食道症ではこの動きが失われ、食道内に食べ物がたまってしまうのです。
その結果、こんな症状が現れます。
見逃さないで!巨大食道症の主な症状
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食後すぐに食べ物を吐き戻す(吐出)
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咳き込む、むせることが多い
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水を飲んだだけで「ゴボッ」と戻す
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食べているのに痩せてきた
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元気がなく、なんとなく調子が悪そう
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食後に誤嚥性肺炎を起こすことも…
ポイントは、「嘔吐」ではなく**吐出(としゅつ)**であること。
胃からではなく、のどや食道から未消化の食べ物がスルッと出てくるイメージです。
どうして起こるの?巨大食道症の原因
巨大食道症には、次のような2タイプがあります。
● 先天性(生まれつき)
子犬の頃から発症しやすく、以下の犬種に多いとされています:
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ミニチュア・シュナウザー
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ジャーマン・シェパード
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フォックステリア
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ラブラドール・レトリバー
● 後天性(あとから発症)
成犬〜シニア犬に多く、以下のような原因が考えられます:
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重症筋無力症(自己免疫疾患の一種)
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アジソン病(副腎皮質機能低下症)
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甲状腺機能低下症
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食道炎や神経障害
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原因不明(特発性):実はこのタイプが最も多いといわれています
どうやって診断するの?
動物病院では、以下のような検査を行って診断を進めます。
● レントゲン検査
食道の拡張具合や、誤嚥による肺炎の有無をチェックします。
● バリウム造影検査
食道の動きや、飲み込んだものの流れを詳しく観察。
● 血液検査
重症筋無力症などの基礎疾患を探るために行います。
※必要に応じて、超音波検査やCT検査を行う場合もあります。
巨大食道症の治療と日常管理
残念ながら、根本的に完治するケースは少ない病気ですが、
「うまく付き合っていく」ことが可能です。
● 食事の工夫がとても重要!
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立って食べさせる(立位給餌)
→ 胃へ自然に流れるよう、食道が垂直になる体勢が理想です
→ 「ベイリーチェア」などの専用椅子を使う方法もあります -
食後も立たせたまま
→ 食後15〜30分はその姿勢をキープ -
フードは流動食に
→ 消化しやすいペースト状のごはんを少量ずつ与えるのが◎
● 基礎疾患がある場合は、その治療も!
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重症筋無力症:抗コリンエステラーゼ薬など
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内分泌疾患(アジソン病・甲状腺機能低下症):ホルモン補充療法など
● 誤嚥性肺炎に注意!
繰り返す咳や発熱、食欲不振は危険信号です。
そのままにせず、すぐに動物病院を受診しましょう。
飼い主さんへ伝えたいこと
「一生この病気と付き合わないといけないの?」
「ちゃんとごはんが食べられなくなったらどうしよう…」
そんな不安を抱える飼い主さんも少なくありません。
でもご安心ください。食事管理と日々のケアを行えば、
巨大食道症のわんちゃんも元気に長く生活することができます。
最近の研究では、早期発見・適切な生活管理で良好な経過をたどる子が増えていることもわかっています。
東京都世田谷区、等々力、玉川、上野毛、尾山台、自由が丘、田園調布で、歯でお困りの方は、いつでもお気軽にご相談ください。
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けいこくの森動物病院 世田谷犬猫歯科
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