けいこくの森動物病院
TEL 03-3704-1014

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〒158-0082 東京都世田谷区等々力1-34-18

けいこくの森動物病院

犬と猫の腎盂腎炎(じんうじんえん)について

こんにちは!  

世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です。  

今日ご紹介するのは「腎盂腎炎(じんうじんえん)」についてです。  

 

腎盂腎炎(じんうじんえん)について

腎盂腎炎は、腎臓の内部にある腎盂(じんう)に細菌が感染して炎症を起こす病気です。

特に高齢の犬や猫、または慢性的な膀胱炎や尿路結石のある子がかかりやすい傾向があります。

この病気は早期に治療しないと腎不全に進行する可能性があり、放置すると命に関わることもあります。

そのため、飼い主が初期の異変に気づき、すぐに適切な治療を受けさせることが重要です。

 

腎盂腎炎の原因

腎盂腎炎の主な原因は「細菌感染」です。細菌が腎臓に侵入する経路は大きく2つあります。

 上行性感染(膀胱や尿道から広がる感染)

最も多い原因で、以下のような経路で細菌が腎臓に到達します。

1.膀胱炎 → 尿道から細菌が膀胱に入り増殖

2.尿管を通って腎臓へ → 細菌が膀胱から腎臓へ逆流し、炎症を起こす

3.尿路結石や腫瘍がある場合 → 尿の流れが悪くなり、細菌が増えやすくなる

このタイプの腎盂腎炎は、膀胱炎や尿路結石を繰り返している犬や猫に多く見られます。

 

腎盂腎炎の症状

初期のうちは軽い症状しか出ないこともありますが、病気が進行すると重篤な症状が現れます。

初期症状(軽度)

  • 食欲の低下
  • 元気がない(動きたがらない)
  • 水をよく飲む、多尿(おしっこの回数が多い)
  • 発熱(ただし熱が出ないこともある)

進行すると現れる症状(中等度〜重度)

  • 頻尿・血尿(尿が赤みがかる)
  • 排尿時の痛み(おしっこのときに鳴くことも)
  • 嘔吐(腎臓の働きが悪くなると毒素が体にたまる)
  • 背中や腰を触ると痛がる(腎臓の炎症による)
  • 発熱(細菌感染の影響で体温が上がる)

 さらに悪化すると…

  • 腎不全(尿が出なくなる・尿毒症)
  • 意識障害(ぐったりして動かない)
  • 重度の脱水(皮膚をつまんでもすぐ戻らない)

腎盂腎炎が慢性化すると、腎臓の機能が低下し、慢性腎不全へと進行する可能性があります。

慢性腎不全は完治が難しく、一生ケアが必要になるため、早期発見・早期治療が重要です。

 

診断方法

腎盂腎炎の診断には、以下のような検査を行います。

①血液検査

  • 白血球の増加(炎症反応)
  • 腎機能の数値(BUN・クレアチニン)が上昇(腎臓がダメージを受けている場合)
  • 電解質の異常(ナトリウムやカリウムのバランスが崩れる)

②尿検査

  • 細菌が検出される(膀胱炎が併発している場合も多い)
  • 尿中に白血球や赤血球が増える
  • 尿の濃さが低下(腎臓のろ過機能が低下している可能性)

③超音波(エコー)検査

  • 腎臓の腫れ(腎盂の拡張)
  • 結石や腫瘍の有無(尿の流れを妨げていないか確認)

④細菌培養検査

どの細菌が感染しているのかを特定し、適切な抗生剤を選ぶために行う

 

治療方法

腎盂腎炎は細菌感染が原因なので、主に抗生剤を使って治療します。

①抗生剤の投与

  • 経口投与または注射(重症の場合は点滴で投与)
  • 効果がある抗生剤を選ぶために細菌培養検査を実施することが望ましい
  • 最低でも3〜4週間の長期間投与が必要になることが多い

②点滴治療

  • 脱水症状を改善し、腎臓の負担を軽くする
  • 腎臓の血流を良くして、老廃物を排出しやすくする

③痛みや発熱への対症療法

  • 解熱剤や鎮痛剤を使って症状を和らげる
  • 嘔吐がある場合は制吐剤を使用することも

④食事療法

  • 腎臓に優しいフード(低タンパク・低リン食)に切り替えることが推奨される
  • 水分摂取を増やすためにウェットフードや水分補給用サプリを使うことも有効

 

予防方法

腎盂腎炎を防ぐために、日常生活で気をつけるべきポイントを紹介します。

①膀胱炎の早期治療

  • 膀胱炎を放置すると腎盂腎炎に進行する可能性があるため、早めに治療する

②水分補給をしっかりと

  • 常に新鮮な水を用意し、脱水を防ぐ
  • ウェットフードを活用して水分摂取量を増やす

③清潔な環境を保つ

  • トイレを清潔にして細菌の繁殖を防ぐ

④定期的な健康診断

  • 特に高齢の犬や猫は、年に1〜2回の血液検査・尿検査を受けると早期発見につながる

 

まとめ

腎盂腎炎は、放置すると腎不全につながる怖い病気ですが、早期発見・適切な治療で完治が可能なことも多いです。

少しでも異変を感じたら、早めに動物病院を受診しましょう!

 

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