2024/12/11
犬と猫の蛋白漏出性腸症(PLE)について
こんにちは!世田谷区等々力のけいこくの森動物病院です。
動物病院での診察の中で、犬や猫が食欲不振、体重減少、下痢、嘔吐などの症状を示すことがあります。その中でも、蛋白漏出性腸症(Protein-Losing Enteropathy: PLE)は、消化器系疾患の中でも特に注意が必要な病気です。今回は、犬と猫の蛋白漏出性腸症について、原因、症状、診断方法、治療法を中心に解説します。
蛋白漏出性腸症(PLE)とは?
蛋白漏出性腸症とは、腸から過剰に蛋白質が失われることによって、低アルブミン血症(血液中のアルブミン濃度の低下)を引き起こす病気です。この状態が進行すると、全身の健康状態が悪化し、命に関わることもあります。腸の炎症、リンパ管拡張、腫瘍などさまざまな原因で引き起こされます。
主な原因
1. リンパ管拡張症(Lymphangiectasia)
リンパ管拡張症は、腸のリンパ管が異常に広がり、蛋白質が腸管内に漏れ出すことで発症します。遺伝的要因や慢性的な炎症が原因とされています。
2. 炎症性腸疾患(IBD: Inflammatory Bowel Disease)
腸壁の慢性的な炎症が蛋白漏出を引き起こすことがあります。IBDは猫と犬の両方で見られ、食事や免疫系、腸内細菌叢の異常が関与しています。
3. 腫瘍
腸管やその周囲の腫瘍(リンパ腫など)が腸の構造や機能を損なうことで、蛋白質の漏出が起こることがあります。
4. 感染症
寄生虫(ジアルジアなど)や細菌、ウイルス感染が腸粘膜を損傷し、蛋白漏出を引き起こすことがあります。
症状
PLEの症状はさまざまですが、以下のような兆候が見られることが多いです:
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体重減少: 栄養吸収が妨げられるため、痩せていきます。
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下痢: 特に慢性的な軟便や水様便。
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嘔吐: 胃腸の炎症が原因となります。
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腹水や浮腫: 低アルブミン血症が進行すると、腹部や四肢にむくみが現れることがあります。
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元気消失や食欲不振: 全身状態の悪化に伴い見られます。
診断
蛋白漏出性腸症の診断には、以下のような手順が必要です:
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血液検査
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低アルブミン血症、低グロブリン血症などが確認されます。
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糞便検査
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消化不良や寄生虫の有無を調べます。
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超音波検査
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腸管の肥厚やリンパ管の拡張、腹水の有無を評価します。
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内視鏡検査または組織生検
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腸の炎症や腫瘍の有無を確認するために行われます。
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治療
PLEの治療は原因に応じて異なりますが、以下のようなアプローチが一般的です:
1. 食事療法
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低脂肪、高消化性の食事が推奨されます。リンパ管拡張症の場合、脂肪制限が特に重要です。
2. 薬物療法
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抗炎症剤(ステロイド)や免疫抑制剤が使用されることがあります。
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寄生虫感染の場合は駆虫薬、細菌感染の場合は抗生物質が用いられます。
3. 支持療法
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蛋白質補充のための輸液療法や電解質補正が行われることがあります。
予後
PLEの予後は原因や治療のタイミングによって異なります。慢性化している場合や腫瘍が原因の場合は予後が悪いことがありますが、早期に診断し適切な治療を行うことで、症状の改善が期待できます。
まとめ
蛋白漏出性腸症は、犬と猫にとって深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。早期発見と治療が非常に重要です。もし、愛犬や愛猫に体重減少や慢性的な消化器症状が見られる場合は、すぐに動物病院に相談してください。適切な診断と治療を行うことで、動物の健康を守ることができます。
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