2024/11/28
皆さんこんにちは!
けいこくの森動物病院です。
今日はわんちゃんとねこちゃんの胃内異物についてご説明します。何を食べても吐いてしまう、何度も吐いてしまう場合には胃の中に異物が詰まっている可能性があります。このブログでは、その原因、症状、予防策、そして動物病院での対処法をわかりやすく解説します。
動物病院を訪れる理由の中で、わんちゃんやねこちゃんが「異物」を飲み込んでしまうケースは珍しくありません。特に胃内異物は、放置すると命に関わる問題となるため、早期発見と対応が重要です。原因、症状、対処法を知ってわんちゃんねこちゃんの健康維持にお役立てください。
胃内異物とは?
胃内異物とは、消化器系である胃の中に、食べ物ではないものが存在する状態を指します。これらは通常、わんちゃんやねこちゃんが誤って飲み込んだもので、自然に排出されることもありますが、体内に留まると重大な健康問題を引き起こす可能性があります。
主な原因
胃内異物を飲み込む原因はさまざまですが、以下のような例があります
• 好奇心: 若齢のわんちゃんやねこちゃんは好奇心旺盛で、見慣れない物を口に入れることが多いです。
• 遊び: 小さなおもちゃや糸、輪ゴムなどが遊びの中で誤飲されることがあります。
• 食欲異常: 一部の動物では異常な食欲(異食症)により、布やプラスチックなどを食べてしまうことがあります。
• 飼い主の不注意: 手の届く場所に危険な物が置いてあると、誤飲のリスクが高まります。
よく見られる胃内異物
犬や猫の胃内で発見される異物として、以下のような物が挙げられます
• おもちゃの部品:おもちゃの一部を咬みちぎったり、丸ごと飲み込むばあいもあります。
•靴下や布:靴下やハンカチなどは咥えやすく、飲み込んでしまうことがあります。
• 髪の毛や毛玉(特に猫):飼い主さんが気付かない間に髪の毛を食べ、胃の中に少しづつ蓄積することがあります。
• 骨や魚の骨:生ごみを漁ったり、お散歩中に落ちているものを拾って食べてしまうこともあります。
• 紐状のもの(糸、リボン、輪ゴムなど):ねこちゃんの玩具や飼い主さんの服に付いている紐などを飲み込んでしまう例があります。
症状
胃内異物を飲み込んだ場合、動物に以下のような症状が現れます
• 嘔吐: 異物が胃や腸の動きを妨げ、嘔吐を引き起こします。
• 食欲不振: 異物が胃にあると食べ物を受け付けにくくなります。
• 元気がない: 異物が体に負担となり、活動量が減少します。
• 腹部の痛み: 触ると嫌がったり、うずくまるような行動をすることがあります。
• 便秘または下痢: 異物が腸まで達すると、排泄に影響を与える場合があります。
胃内異物が引き起こす危険性
胃内異物は単なる不快感を超えて、命に関わる問題を引き起こすことがあります。特に、以下のような合併症には注意が必要です
• 腸閉塞: 異物が腸を完全に塞ぎ、食べ物や水分が通らなくなります。
• 穿孔(せんこう): 鋭い異物が胃や腸の壁を傷つけ、感染症や炎症を引き起こすことがあります。
• 長期的な健康問題: 胃内に長く異物が留まると、消化器系全体に負担をかけます。
診断と治療
診断
1. 問診: 飼い主さんからの情報(異物の可能性、症状の出現タイミングなど)を確認します。
2. 触診: 腹部を触って異常の有無を調べます。
3. 画像診断: レントゲンや超音波検査で異物の位置や大きさを特定します。一部の異物は造影剤を使って確認する場合もあります。
処置方法
• 内視鏡手術: 小型の異物であれば、飲み込んですぐの場合は内視鏡を用いて口や胃から安全に取り出すことが可能です。
• 開腹手術: 大型の異物や腸まで達した異物の場合は、開腹手術が必要となることがあります。腸閉塞を起こして腸が壊死している場合にはその部分を切り取らなければなりません。
• 自然排出を観察: 危険性が低い場合、異物が自然に排出されるのを待つこともあります。
予防策
胃内異物を防ぐためには、以下のような対策をし、予防を行うことが最も大切です
1. 危険な物を片付ける: 小さな物、鋭利な物、紐状の物は動物の届かない場所に保管しましょう。
2. おもちゃの選定: 安全性の高い、飲み込みにくいサイズのおもちゃを与えましょう。
3. しつけ: 噛んではいけない物を理解させるために、早めのしつけを行いましょう。
4. 定期的なブラッシング(特に猫): 毛玉を予防するために、こまめにブラッシングを行います。
対処法
愛犬や愛猫が異物を飲み込んだ可能性がある場合には次のような対処を行います
• 速やかに動物病院に連絡する: 症状がなくても、飲み込んだ物や時間について伝えましょう。飲み込んだことに気づいたらすぐに連絡しましょう。
• 無理に吐かせない: 一部の異物は吐き出させることで、さらに危険な状態になることがあります。
• 冷静に対応する: 状況を確認し、動物の様子を観察しましょう。
まとめ
犬や猫の胃内異物は、好奇心や不注意から起こる身近な問題ですが、放置すると命に関わる重大な合併症を引き起こします。何よりも異物を飲み込ませないという予防が最善策です。飼い主としての注意が、愛するペットさんの健康と安全を守る第一歩となります。
もし愛犬や愛猫に異物を飲み込んだ疑いがある場合や、日頃の健康管理で不安がある場合は、お気軽に当院までご相談ください。