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猫の呼吸数が気になる飼い主様へ|正常値と異常サイン、獣医師のアドバイス

愛猫の息が荒くなっていることに気づいたら、飼い主様としては心配になってしまいますよね。中には問題がないケースもありますが、なかなか呼吸状態が落ち着かなかったり次第に悪化してきたりする場合は、体の異常を知らせるサインかもしれません。対処が遅れると最悪の場合、命を落としてしまうこともあるため、いち早く異常に気がつくことが大切です。

今回は猫の呼吸数について、正常値や異常を示すサインなどをご紹介します。

■目次
1.猫の正常な呼吸数とは
2.呼吸数に影響を与える要因
3.異常な呼吸数とは:警戒すべきサイン
4.呼吸数の異常が示唆する疾患とは
5.獣医師による診断と治療について
6.まとめ:愛猫の健康を守るために

 

猫の正常な呼吸数とは

健康な猫の場合、安静時の呼吸数の正常範囲は1分間に20〜30回程度です。

ただし、正常の範囲を超えたからといって異常があると言い切ることはできません。呼吸数は個々によって異なり、状況によって呼吸が速くなることもあります。そのため、日頃から愛猫の呼吸数を計測しておくことで、異常にいち早く気がつくことができます。

呼吸数を測る際は、猫が寝ている時やリラックスした状態の時に行いましょう。基本的には「胸が膨らむ→凹む」の一連の動きを1回とカウントして胸の動きを1分間数えますが、時間がないときは15秒間だけ数えて4倍にし、1分間に換算する方法でも大丈夫です。ただし、季節や環境などで容易に数値が変わるため、定期的に記録をつけるようにすると、より正確に把握することができるのでお勧めです。

 

呼吸数に影響を与える要因

・運動をした後
・興奮した時
・暑い環境下にいる時
・大きなストレスを感じた時

これらは呼吸数に影響を与える要因になります。ただし、影響はあくまで一時的なものなので、時間が経てば自然に元の数値に戻ります。

 

異常な呼吸数とは:警戒すべきサイン

以下のような症状が見られた場合、急を要する可能性があります。そのため、これらのサインが見られたら直ちにかかりつけ医に相談しましょう

 

安静時の持続的な早い呼吸(頻呼吸)

安静にしているにも関わらず早い呼吸が続いている場合は、呼吸が苦しいサインである可能性があります。

 

呼吸の深さや音の変化

呼吸が浅い場合や、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」「グーグー」「ピーピー」といった音がする場合も、何かしらの異常が疑われます。

 

呼吸困難の兆候

呼吸困難は緊急度が高く、最も警戒が必要です。浅く速い呼吸をしている、首を伸ばして呼吸をする、舌が青紫色になっている(チアノーゼ)などは、呼吸困難のサインです。また、さらに重度になると、開口呼吸やふらつき、痙攣などが見られ、場合によってはそのまま命を落としてしまうこともあります

 

呼吸数の異常が示唆する疾患とは

呼吸数に異常が見られる場合、以下のような疾患が関係している可能性があります。

 

心臓病

猫では特に肥大型心筋症がよく見られます。初期症状はほとんどないものの、病気が悪化すると胸水が溜まったり肺水腫を起こしたりして肺がうまく膨らまなくなり、呼吸が速くなります。また、心臓内で血液のうっ滞が起こることから血栓が出来やすくなり、後ろ足の血管に血栓が詰まると激しい痛みを伴い、呼吸が速くなることもあります。

 

肺炎

感染症やアレルギーなどが原因で起こります。酸素と二酸化炭素をうまく交換することができなくなるため、呼吸が速く浅くなります。また、重度の場合は呼吸困難を起こすこともあります

 

喘息

猫にも人と同じように喘息があり、発作が起こると浅く速い呼吸をしたり、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という苦しそうな呼吸をしたりします。また、首を伸ばして苦しそうに口を開けて呼吸をしたり、おなかに力を入れて呼吸をしたりすることもあります。

 

貧血

血液には酸素を運ぶ働きがあるため、貧血になると体に酸素が行き渡らなくなり、呼吸が速くなったり呼吸困難を起こしたりします。慢性腎臓病や中毒、猫白血病ウイルス感染症などが原因で起こります。

 

痛み

体に痛みが生じると交感神経の働きが活発になるため、呼吸が速くなります。骨折などのケガや腸閉塞による腹痛など、痛みを引き起こす原因は多岐にわたります。

 

獣医師による診断と治療について

問診で症状を確認した後、視診や聴診、触診、打診といった身体検査や血液検査、画像検査(レントゲン検査、心エコー検査)などを行い、総合的に診断します。

治療法は投薬や酸素療法、手術など、原因に応じたものを選択します。

 

投薬

多くは投薬による治療を行います。例えば、肥大型心筋症であれば強心薬や抗血栓薬、利尿薬を、猫喘息であればステロイド薬や気管支拡張薬などを投与します。

 

酸素療法

呼吸困難を起こしている場合には、呼吸状態を安定させるために酸素室(ICU)に入り、酸素吸入を行います。

 

手術

骨折や異物による腸閉塞などが原因の場合は、手術が必要なケースもあります。

 

まとめ:愛猫の健康を守るために

安静時に呼吸が速い場合には、何かしらの健康上の問題を抱えている可能性が考えられます。ただし、猫は痛みを隠す習性があるため、ある程度悪化してから発見されるケースも少なくありません。

そのため、日頃から意識的に愛猫の呼吸数を観察し、いち早く病気のサインに気が付くことで、早期対応を行うことができます。今回ご紹介した内容を参考に、気になる症状がある場合は躊躇せずに動物病院に相談しましょう。


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