2024/07/23
こんにちは。
けいこくの森動物病院です。
今日ご紹介するのは、わんちゃんの眼の病気についてです
進行性網膜萎縮症とは?
進行性網膜萎縮症(Progressive Retinal Atrophy、PRA)は、主に犬に見られる遺伝性の眼の疾患です。この病気は、視細胞が徐々に機能を失い、最終的に視力を喪失する特徴があります。PRAは通常、遺伝子の異常により引き起こされ、発症の年齢や進行の速さは犬種や個体によって異なります。
進行性網膜萎縮症の原因
PRAは遺伝的要因により起こる病気です。特定の遺伝子の変異が原因となり、視細胞が正常に機能できなくなります。これにより、網膜の細胞がゆっくりと死滅し、視力が徐々に失われていきます。遺伝子変異は多くの犬種で異なったかたちで現れるため、PRAの診断や管理は犬種ごとに異なる場合があります。
進行性網膜萎縮症の症状
PRAの初期段階では、夜間の視力低下(夜盲症)が最も一般的な症状です。これに続いて、日中の視力も徐々に低下していき、最終的には完全な失明に至ります。以下のような症状が見られることがあります。
①夜盲症 :暗い場所での視力低下
②視野狭窄:視界が狭くなる
③光に対する敏感さ:明るい光に対する過敏反応
④視力低下:日中でも物を見つけにくくなる
⑤眼の異常:網膜の変色や萎縮、視神経の萎縮など
行性網膜萎縮症の診断
PRAの診断には、いくつかの検査が必要です。最も一般的な方法は、網膜電図(ERG)です。ERGは網膜の電気活動を測定し、視細胞の機能を評価します。その他の診断方法として、眼底検査や遺伝子検査があります。遺伝子検査は特定の犬種でPRAに関連する遺伝子変異を特定するために実施します。
進行性網膜萎縮症の治療
現在のところ、PRAの進行を止めたり、治癒させたりする治療法は存在しません。しかし、早期診断と適切な管理によって、犬の生活の質を向上させることが可能です。以下にいくつかの管理方法を紹介します。
①生活環境の調整:家の中の家具の配置を固定し、わんちゃんがが安全に移動できるようにする
②視覚以外の感覚の活用:音や匂いを使ってわんちゃんが場所を特定できるようにする
③サプリメント:一部の研究では、特定のビタミンやサプリメントが視細胞の健康をサポートする可能性が示唆されていますが、効果には個体差があります
進行性網膜萎縮症の予防
PRAは遺伝性の疾患であるため、予防には遺伝子検査が重要です。繁殖を行う前に遺伝子検査を実施し、PRAに関連する遺伝子変異を持つ個体を繁殖させないことで、病気の発生を減少させることができます。また、信頼できるブリーダーから健康な犬を購入することも重要です。
進行性網膜萎縮症の影響を受けやすい犬種
PRAは多くの犬種で見られますが、特に以下の犬種では発症リスクが高いとされています。
①ラブラドール・レトリーバー:PRAの遺伝子変異が多く確認されている
②プードル(ミニチュア、トイ):遺伝子変異が原因でPRAが発生しやすい
③コッカー・スパニエル:網膜の変性が見られることが多い
④ダルメシアン:遺伝的要因によってPRAが発生しやすい
進行性網膜萎縮症になってしまったら
PRAを犬は、発症したわんちゃんは適切な管理とサポートを受けることで、視力が低下しても質の高い生活を送ることができます。犬が安全で快適に過ごせるよう、飼い主さんが環境の調整やトレーニングを行うことが重要です。例えば、音や匂いを使ったコマンドを教えることで、犬は視力が低下しても自信を持って行動することができます。
まとめ
進行性網膜萎縮症(PRA)は、深刻な視力障害を引き起こす遺伝性の病気です。早期診断と適切な管理によって、犬の生活の質を向上させることが可能です。遺伝子検査を通じて病気の予防に努め、PRAを発症したわんちゃんが安全で快適に過ごせるよう、飼い主さんのサポートが必要です。
わんちゃんの眼に異常を感じたら、ぜひお気軽にご相談ください。
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