2024/06/19
こんにちは!
世田谷区等々力にあります、けいこくの森動物病院です。
今回はわんちゃん、ねこちゃんの骨の腫瘍についてです。
はじめに
わんちゃんねこちゃんにおける骨の腫瘍(骨腫瘍)は、比較的稀な疾患です。
骨腫瘍は良性(非癌性)と悪性(癌性)のものがあり、その治療方法や予後は異なります。
骨腫瘍の種類と原因
骨腫瘍は、主に以下の2つに分類されます。
・良性骨腫瘍
– 骨巨細胞腫:通常、骨の先端部分に発生し、周囲の組織に影響を及ぼさない。
– 骨軟骨腫:軟骨の過剰成長による腫瘍で、一般的には良性です。
・悪性骨腫瘍
– 骨肉腫:犬では最も一般的な骨の悪性腫瘍。急速に成長し、早期に肺など他の部位に転移しやすい。
– 軟骨肉腫:軟骨細胞由来の悪性腫瘍。
– 線維肉腫:結合組織由来の腫瘍で、局所的に侵襲的ですが転移は比較的少ない。
原因としては、遺伝的要因、年齢、外傷、放射線被曝などが挙げられます。
特に大型犬種では骨肉腫の発生リスクが高く、遺伝的要因が強く影響していると考えられています。
症状
骨腫瘍の初期症状は一般的に非特異的であり、他の疾患と誤診されることがあります。主な症状は以下の通りです。
– 跛行(歩行困難):最も一般的な症状で、特に運動後に悪化することが多い。
– 骨の腫れ:患部の腫れや変形
– 痛み:触診時の痛みや、日常生活で痛みが出てくる
– 体重減少:食欲不振や全身状態の悪化による体重減少。
これらの症状が見られる場合は、早急に獣医師の診断を受けることが重要です。
診断方法
骨腫瘍の診断は複数の方法を組み合わせて行います。主な診断方法は以下の通りです。
画像診断
– X線検査:骨の変形や破壊の程度を評価するための基本的な診断方法。
– CT検査:腫瘍の詳細な位置や広がりを把握するために使用されます。
– MRI:軟部組織への侵襲の有無を確認するための方法。
生検
–細胞診:針を用いて腫瘍細胞を採取し、顕微鏡で観察。
– 組織生検:腫瘍の一部を外科的に切除し、病理組織学的に検査。
治療法
骨腫瘍の治療は、腫瘍の種類、進行度、全身状態に応じて選択されます。主な治療法は以下の通りです。
外科手術
– 切除術:腫瘍を外科的に切除する方法。
– 断肢術:悪性腫瘍である場合、患肢を切断することで腫瘍の進行を抑えることができます。特に骨肉腫に対しては一般的な方法です。
化学療法
– 化学療法薬の投与:手術後の再発防止や転移の抑制を目的として行われます。一般に用いられる薬剤には、ドキソルビシンやカルボプラチンなどがあります。
放射線療法
– 局所放射線照射:腫瘍の縮小や痛みの緩和を目的として行われます。外科手術が難しい場合や、化学療法と併用されることがあります。
予後と生活の質
骨腫瘍の予後は、腫瘍の種類や治療方法により大きく異なります。特に悪性骨腫瘍の場合、早期発見と適切な治療が重要です。
– 骨肉腫:断肢術と化学療法の併用により、生存期間を延ばすことが可能ですが、完全治癒は難しい場合が多いです。
– 良性腫瘍:完全切除が可能な場合、予後は良好で再発のリスクも低いです。
まとめ
わんちゃんねこちゃんにおける骨の腫瘍は、早期発見と適切な診断・治療が鍵となります。体調に異変を感じた場合は、早めに獣医師に相談することが重要です。腫瘍の種類や進行度に応じた適切な治療を行うことで、生活の質を向上させ、できる限り長く健康で幸せな生活を送らせることが可能になります。
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